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宇宙ビジネス研修から学ぶイノベーション創出のヒント

宇宙ビジネス研修から学ぶイノベーション創出のヒント | くらしビジョナリーコラボスタートアップと、くらしでつながり新しい価値や事業を創出するオープンイノベーション活動

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    社会の課題を解決し、暮らしにまつわる新しい価値を生み出す活動をサポートするGame Changer Catapult(以下GCカタパルト)。
    先日、Space BD株式会社が提供する宇宙ビジネスとベンチャー経営をテーマとした、研修プログラムにGCカタパルトのメンバーで参加してきました。
    宇宙ビジネスゲームゲーム研修の様子

    ゲーム型検収を通してベンチャー経営の成功と失敗を疑似体感

    宇宙ビジネスゲームゲーム研修の説明
    宇宙ビジネスゲーム研修の講師を務めていただいたSpace BD 川元氏

    今回の研修で行われたのは、人工衛星の開発を行う会社の経営者として衛星開発・運用を成功させるという内容のビジネスゲーム型研修プログラムです。宇宙開発における一連のビジネスイベントを経営者視点で体験していくことで、マネジメントやリーダーシップ、チーム作りなどのスキルを学ぶことが目的です。さらに、Space BDが6年前の創業から現在まで歩んできた事例についてお話しいただくことで、より実体験に即したマネジメントスキルやイノベーション創出に基づいた視点からの気づきを得られました。
    プログラムの流れとして、チーム(会社)の立ち上げ、人工衛星開発のミッション選定、資金調達、人材採用、開発マネジメント、打ち上げ便選定などのプロセスがあります。それぞれのプロセスで与えられたミッションに対してチームで議論し、プレゼンを実施。プレゼン結果の得点によって投資家、銀行などを選びながら、衛星の開発と運用を進めていきます。

    企業会社のプレゼンの様子
    立ち上げた会社の社名・ロゴを作成し、コンセプトをプレゼン

    事業計画と資金調達について検討
    事業計画を基に、融資を受けるか検討します

    ゲーム型研修プログラムとありますが、実際は与えられたミッションに対して分刻みで判断し、アイデアをまとめて限られた時間で相手に伝わるように発表...を繰り返す、とてもスピーディーで密度の濃いプログラムでした。
    研修の進行を担当していただいたSpace BDの川元氏は「新しいことに対しての挑戦は、多くの人にとっては既視感のないものになります。だからこそ、社名ロゴやサービスの名前、開発したサービスに対して、なぜ手がけようと思ったのか、どのような価値があるのかを可視化することが大切であり、そのストーリーを周知させることが重要です」と、話しました。
    また、ベンチャー経営では、短・中期スパンでの価値創造と長期スパンでの産業創造を常に両立していかなければならず、答えを見つけて前へ進めていくためには、迅速な意思決定が必要であることを伝えました。

    人工衛星データからのビジネスアイデアの発表
    人工衛星データからどんなビジネスが考えられるかアイデアを発表しています。

    Garvey McIntosh氏も見学に来てくださいました
    研修の途中にNASAアジア代表Garvey McIntosh氏も見学に来てくださいました。

    振り返りを通して見えたベンチャー経営に大切な心構え

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    研修終了後は、チームごとに今回のプログラムについての振り返りを行いました。チームで立てた戦略を言語化し、その行動が戦略に沿っていたか、チーム内での自分の役割は何だったのかなど、勝因・敗因を分析しながらディスカッションを行いました。ディスカッション後に行われた発表では、以下の意見が挙がりました。

    • 最初の段階で事業の方針や骨組みを決めておくことが大事だと感じた
    • プレゼンが最終結果に大きく影響を与えた。ただ伝えるだけではなく、相手に興味を持ってもらえるように伝えることの重要性を実感した
    • 何を基準に決めていくのか、誰がチームを引っ張るのか、役割分担をしっかり決めておけ
      ばよかった

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    発表を受けて、川元氏はベンチャー経営における意思決定は、その時点では「良かった」「悪かった」の評価が難しいものであると話しました。それを踏まえたうえで、どうなるか分からないけど行動してみること、そのための準備は最大限にやっておくこと、ベンチャー経営では実践がすべてあり、実践から学ぶことが大事であること、思うような結果が得られなくても「こんなものか」と、結果を受け入れる心構えが大事であると話しました。

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    さらに、川元氏はベンチャー創業期においてのチームづくりやデリゲーション(=権限委譲)は、どうあるべきかについても言及しました。「デリゲーションによってメンバーがオーナーシップを持つことは、メンバーや事業の成長にもつながり、チームに良い影響がもたらされるのと同時に、事業間で壁ができたり、メンバーがチームから離脱したりといったデメリットも出てきます。大事なのは、何のためのデリゲーションかをメンバー同士で共有できていること。上手くいっていないと感じた場合はこまめにコミュニケーションを取り、お互いの認識をすり合わせておくことが大事です」と、話しました。

    成長のヒントはチームワークとコミュニケーション、意思決定

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    今回の研修を終えて、参加メンバーからは「ゲーム性が高いので、楽しく取り組めたし、新規事業創出において重要な要素が入っているプログラムだと感じた。限られた時間のなかで、ビジョンをある程度具体的に描くことが大事であり、チーム内で役割を決めておく方がスムーズに進められると思った。そのためのグループ間のコミュニケーションは大切だと感じた」、「限られた資金や先が見えないなかで、何を大事にするべきかを、きちんと判断しなければいけないと思った。また、途中でアクシデントが発生するなど『ゲームだからこうだろう』という前提をちゃんとくずしてくれる内容になっていたし、アクシデントが起こった時にフレキシブルに対応できる力が必要だと思った」という感想が挙がりました。

    新規事業を立ち上げて進める過程では、広い範囲にわたって「何を選ぶか」の判断が常に求められます。その時に何を優先して意思決定していかなければならないかを見極める力が必要であり、想定外の事態が起こっても受け入れて、前に進める情熱を持ち続けることが大事だということに気づかされました。
    また、事業を実現するまでには様々なスキルが必要になり、そのためには人の力が必要です。多彩な人材がそれぞれの場所で価値を最大限に発揮するためには、お互いの意見を率直に言い合えるチーム作りが重要であることを学びました。

    これからの産業として多くの可能性・多様性を持つ一方で、予見性が低くすべてが未知への挑戦となる宇宙。この壮大なテーマに挑戦し、宇宙に一大産業を創るビジョンを掲げるSpace BDによる実践型の研修は、宇宙産業についての理解を深めるとともに、GCカタパルトで現在進めている事業やチーム作りへのヒントを得られた有意義な時間でした。そして、何より研修に取り組むメンバーの活気にあふれる表情が印象的でした。新しいことに挑戦することはワクワクすることであり、どのような状況でも前向きに受け入れて取り組む姿勢が大事だと改めて気づかされました。今回の研修で得られたことを活かし、未来の社会に新しい価値を作り出すことに本気で挑戦する人たちを支え、盛り上げていきたいと思います。

    <関連情報>
    Space BD社 https://space-bd.com/
    日本の宇宙ビジネスを、世界を代表する産業に発展させることを目指す「宇宙商社®」。2017年の創業以来、宇宙への豊富な輸送手段の提供とともに国際宇宙ステーション(ISS)をはじめとする宇宙空間の利活用において、ビジネスプランの検討からエンジニアリング部門による技術的な運用支援までをワンストップで提供するほか、宇宙を活用した官民の事業化支援や事業変革、教育分野にも事業を展開する。

    SPACE BD社 ウェブサイトニュースに掲載された記事はこちら。
    パナソニックの新規事業創出を目指すメンバーを対象に宇宙ビジネスゲーム型研修を提供
    NEWS|Space BD (space-bd.com)

    電波新聞 に掲載された記事はこちら。
    https://dempa-digital.com/article/416555

    その他、天文ガイド5月号、ユーザー通信、産経ニュースなどにも記事が掲載されました。

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