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チョコレートドリンクマシンの「INFINI MIX(インフィニミックス)」で、ミツバチプロダクツを設立した浦はつみ。
大企業発のスタートアップとして挑戦を続ける浦にミツバチプロダクツの現状や今抱えている課題やこれからの展望を聞きました。
浦 はつみ(うら はつみ)
1997年九州松下電器株式会社に入社。2002年に松下電器株式会社へ転籍後、さまざまな部門で企画・営業職に従事。GCカタパルトのビジネスコンテストに参加し、2017年からチョコレートドリンク事業を始める。2018年にミツバチプロダクツを設立し、チョコレートドリンクマシン「INFINI MIX(インフィニミックス)」の製造・販売事業を展開しながら、2022年3月には福岡市中洲川端にチョコレートドリンク専門店「Hanikam Chocola Tea(ハニカムショコラッティー)」をオープンした。
グローバルカンファレンス「SKS Japan」に参加。ミツバチプロダクツとフードイノベーション
──最近、「食xテクノロジー&サイエンス」をテーマにしたイベント「SKS Japan」(以下SKSJ)に参加されましたね。
浦はい。展示ブースで「INFINI MIX」で作ったチョコレートドリンクを来場者に向けて提供しました。また、ピッチセッションでは、「パッションが生み出すフードイノベーション」というテーマでお話しさせていただきました。
──実際に「INFINI MIX」のチョコレートドリンクを飲んだ方の反応はいかがでしたか?
浦会場ではチョコレートドリンクを飲んだことがない方が多かったのですが、味に関しては皆さんから好評でしたね。「INFINI MIX」は、チョコレートをしっかりと乳化することであっさりと、飲みやすく仕上げます。紅茶で割るなど好きなアレンジを楽しめるのも魅力ですね。一方でカカオの旨味は残っているので、普段は濃厚なチョコレートドリンクを飲んでいる海外の方からも「海外のものと違って飲みやすく、かつ満足感もある」という声をいただけました。
日本にチョコレートドリンクの文化を根付かせるためにも、実際に飲んで感動を味わってもらえて良かったと思っています。
──手ごたえを感じられたようですね。
浦そうですね。こちらから積極的に声をかけ、皆さん興味・関心を持っていただきましたが、実りあるものがどれだけあったのかは正直現段階では分かりません。イベントは色々な方と接点を持てるいい機会ですが、事業支援にまでつながる関係性を構築できることとは別問題です。イベントの参加にはお金や時間がかかります。私たちが参加できたのもパナソニックやGCカタパルトと縁があったからで、やはりスタートアップ企業を始めるには、「ヒト・モノ・カネ」が揃う大企業発であることはアドバンテージになると改めて思いまいしたね。
80秒で完成するチョコレートドリンク。107店舗で導入されている「INFINI MIX」の魅力とは
ブースでは実際に作っているところもご覧いただきました
──チョコレートドリンクマシン「INFINI MIX」の魅力についてお聞かせください。
浦「一台の腕利きショコラティエ」をコンセプトにした「INFINI MIX」は、水とチョコレートを乳化させ、一杯仕立てのチョコレートドリンクを製造するマシンです。乳化をすることで、ドリンクのなめらかさや風味が全然違うのですが、従来であれば鍋を使っての調理でかなり時間がかかっていました。その点「INFINI MIX」では、わずか80秒でできることが大きな魅力です。また、独自のスチームブレンダー機構により、カカオの香りが高くなるようにしています。新しい技術によって、おいしいチョコレートドリンクが飲める。近年は、健康・美容の市場からチョコレートに対する関心は高まってきており、本商品でできることは、まさにフードイノベーションだと思っています。
──SKSJで「INFINI MIX」について何か良い反応はありましたか?
浦もちろんありましたが、皆さんやはり面と向かって悪い点は指摘しません。それよりも、「INFINI MIX」で作られた質の高いチョコレートドリンクを飲んだときの最初のリアクションこそが、本音なのだと思っています。
──現在、「INFINI MIX」はどのような場所で活用されているのでしょうか?
浦ゴディバカフェをはじめとしたチョコレートドリンクを提供しているお店を中心にBtoBで展開しています。売り始めて5年目で107店舗(*)に導入いただいています。一時は新型コロナウイルスの影響で落ち込みをみせた時期もありましたが、導入実績を着実に積み重ねてきました。今後もさらに増やしていき、将来的にはグローバル展開も視野に入れています。
* 2022年10月時点
INFINI MIXで作ったドリンクが飲めるお店は公式サイトの導入店舗一覧ページでご確認いただけます
https://mitsubachiproducts.com/storelist/
店舗から出張販売へ。丁寧な接客で心をつかみ、実績を残し次へとつなげる
お店でも人気のビスコッティを博多座限定バージョンで販売しました
──福岡市にチョコレートドリンク専門店「Hanikam Chocola Tea」を構えていますが、7月に出張販売にもチャレンジされたんですよね?
浦出張販売は、福岡市内にある劇場「博多座」で行いました。初めての体験でしたがスタッフも頑張ってくれて、売上目標も達成。チョコレートドリンクを初めて飲んでいただいたお客様が、その後店舗へ来てくださったケースもありました。
──販売にあたり、何か工夫されたことはありますか?
浦客層を意識して丁寧に接客することを心がけました。公演の合間の休憩時間に販売するので、お客様と長い時間話はできませんが、それでも商品の魅力を丁寧に伝えることを徹底しました。今回は、ホットのチョコレートドリンクと博多座とコラボレーションしたチョコレートブラウニーを販売しましたが、私自身も初日と2日目は現地へ赴き、パナソニックでの営業時代に培ってきたスキルを活かしてイントネーションを含めた細かな点までスタッフに指導しましたね。
──何か新しい発見はありましたか?
浦今回は店舗で作ったチョコレートドリンクを保温ポットに入れて提供するスタイルでの販売でした。「INFINI MIX」で作ったものは、一時間程度保温ポットに入れてもそこまで品質に変化がないので、出張販売は意外と適しているかもしれないと思いました。また、他のブースで出展している方に販売方法や集客の仕方について、常に質問することは欠かさなかったです。
改善点はこれから洗い出していきますが、今回の出張販売は、マーケティングも兼ねた投資だと思っているので、次につなげられるように検証していきたいと思っています。
簡単ではないスタートアップ企業だからこそ。
ミツバチプロダクツのこれから
博多座での出張販売 開店前の様子
──出張販売で実績を上げられ、次にどのようなことをする予定ですか?
浦来年2月に福岡天神にある百貨店でのイベントに参加することが決まっています。百貨店の担当者の方がインスタをご覧になられて興味を持ち、声をかけていただいたのがきっかけでした。初めての経験ですが、こういった地道な活動が人とのつながりを作るうえでも後々実を結ぶと信じています。
──スタートアップをされて4年経ちましたが、今後の展望はありますか?
浦大企業発でスタートアップをしようと思えば、まずは企業から支援してもらうために実績が必要になります。「INFINI MIX」は着実に導入店舗が増えていますが、まだまだこれからの段階です。私たちが目標とするグローバル展開をしようと思えば、さらに資金がかかります。スタートアップは、一見して華やかにも見えますが決して簡単なことではなく、色々模索しながら前に進み続けなければなりません。
──そのような中でも続けてこられた秘訣はあるのでしょうか。
浦私には、日本にチョコレート飲むという新しい文化を根付かせたいという強い想いがあるので、今は未来しか見ていません。アメリカでは健康的なおやつを間食としてとることで、心身を健やかに保つ「ヘルシースナッキング」という習慣が話題になっています。ミツバチプロダクツも高カカオチョコレートでヘルシースナッキングをグローバルに展開し、ひとりでも多くの方の心と体を豊かにすることを目指しています。
パナソニック創業者 松下幸之助の名言の一つに「お客様のためになる商品を、世の中に出していかなければならない」があります。この言葉は事業を立ち上げるうえでの前提であり、私も深く共感しています。この精神をこれからも大切にしながら、ミツバチプロダクツを通してフードイノベーションを起こしていきたいですね。
■本格的なチョコレートドリンクを実現するチョコレートドリンクマシン
「INFINI MIX(インフィニミックス)」の製品情報はこちらから
https://mitsubachiproducts.com/products/