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時代の変容とともに求められる食の価値とは?-SKS JAPAN 2022で感じたこと-

時代の変容とともに求められる食の価値とは?-SKS JAPAN 2022で感じたこと- | くらしビジョナリーコラボスタートアップと、くらしでつながり新しい価値や事業を創出するオープンイノベーション活動

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    「食×テクノロジー&サイエンス」をテーマに、産業を超えた食の未来を描くことを目指すグローバルカンファレンス「SKS Japan」(以下SKSJ)。
    今回は3年ぶりにオフラインで開催されるとあり、40社超のパートナー企業と80名を超えるスピーカーが参加。約850名の来場者が集まり、過去最大規模のイベントになりました。DAY1のピッチセッションでは、ミツバチプロダクツ代表取締役 浦はつみ(以下 浦)とギフモ代表取締役 森實将(以下 森實)が登壇。今回はイベントとピッチセッションの様子を中心に紹介します。

    社会の価値観の変化により、食の多様性が当たり前の時代に

    今回のSKSJには、地球にも社会にも良いビジネスが次々と生まれる"エコシステム"に変化させたいという思いを込めて「Beyond Community(コミュニティを超えた存在を目指す)」という副題を入れています。食のトレンドや企業の先進的な技術を共有するだけではなく、「実際に参加できるプログラム」や「深く対話できる場」を設けることで、参加者の行動や社会実装につながるコンテンツを盛り込んだことが大きな特長でした。

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    DAY1の初めには、フードテックトレンドの現在を読み解くセッションを開催。本イベント主催者のシグマクシス・田中氏から、フードテックと食の進化の方向性を示した最新マップ「Food Innovation Map ver3.0」をもとに、国内外のフードシステムにおける環境の変化や注目すべき領域、注目されているキーワードなどを解説していただきました。
    今回の大きなポイントとしては、コロナ渦や戦争など食の安全が脅かされた時のフードシステムのあり方やWeb3.0(ウェブスリー)・メタバースなどのデジタルテクノロジーを用いた食体験の進化、食とWell-being(ウェルビーイング)、完全食と保存食が挙げられ、現代社会を取り巻くフードテックの現状についてお話しいただきました。

    続いて行われた有識者によるセッションでは、様々な角度から食と社会課題について向き合い、考えさせられる機会となりました。具体的には、SDGs(持続可能な開発目標)がもたらす世界の食文化の変化や、環境・健康面の課題解決に向けて注目されている代替食品、コロナ禍におけるレストランの価値提供や技術の継承についてです。

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    今回行われたセッションのテーマの一つに「食とWell-being」がありました。この数年、日本にSDGsが浸透したことで、日本人の食へのあり方や意識、購買行動が大きく変化しました。社会や生活者の価値観が変わったことにより、食においても新たな課題が浮かび上がりました。これらの課題をフードテックで解決し、食を通して人々が幸せでいられるためにはどうしたらよいのか。現代人が求める食へのニーズ、多様性、アプローチ方法など、乗り越えなければいけない事の多さを実感しました。
    日本のフードシステムもサステナブル(持続可能型)という考え方が広がっていますが、欧米では、サステナブルからさらに進んだリジェネラティブ(再生可能・価値創出型)という考え方が広がってきており、世界規模で見ると日本はまだまだ遅れているというのが現状だそうです。

    セッションを通して、これらは食産業に関わる人たちだけの問題ではなく、この地球に生きるすべての人が向き合うべき問題だという意識を持ちました。より良い世の中にするために、私たちはもちろん未来の子どもたちが幸せに暮らすために、まずは現状を知って理解することが大切だと感じました。

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    また、今回からBeyond Community(コミュニティを超えた存在を目指す)という新たなコンセプトのもと、会場参加者と登壇者がテーマごとにグループディスカッションを行うラウンドテーブルが実施されました。浦と森實も、開発したプロダクトについての感想や食のサービス、モノづくりについて参加者と意見交換を行い、多くの参加者の考えや想いを聞き、ディスカッションを行う有意義なひと時となりました。

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    「新しい食文化を作る」情熱にあふれた2人のピッチセッション

    DAY1の最後に行われたピッチセッションでは「パッションが生み出すフードイノベーション」というテーマで、森實と浦が登壇。
    最初に登場した森實は、飲み込む力などが弱くなった方や嚥下障がいの方でも「家族と一緒に同じ食事を楽しむ事ができるように」という強い思いが「DeliSofter(デリソフター)」の事業化・製品化につながったこと、介護業界にケア家電という新たなジャンルを作り出したこと、現在は家庭用だけではなく介護施設や飲食店と協業して導入し、ケア家電の拡大に努めていることを中心に話しました。
    一方の浦はチョコレートドリンクを通して、新たな食文化を作るという思いからスタートアップしたこと、専用マシン「INFINI MIX(インフィニミックス)」の製造・販売だけではなく、チョコレートドリンク専門店の出店や移動販売を展開していることを伝えました。

    2人のピッチセッションに共通していたのは、どちらも「みんなが幸せになれる新しい食の未来を作る」という強い情熱です。目まぐるしく変化する世の中において、新しい食文化を実現し、広げることは簡単なことではありません。技術やアイデアももちろん必要ですが、それ以上に情熱の火を絶やさないこと、チャレンジし続けることが大切だということがセッションから伝わり、会場全体もポジティブなムードに包まれました。

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    後日、SKSJに参加しての感想や今後の展望についてもおうかがいしました。
    ■ギフモ株式会社の後日談インタビュー記事は こちら
    ■ミツバチプロダクツ株式会社の後日談インタビューは こちら
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    夢を描き発信し続ける姿勢が、新しい食の未来を創る

    今回のSKSJ に参加して、国内外の食の構造が急速に変化し、それによって食への価値観が大きく変化している印象を受けました。これまでは、メーカーがマーケティングによって価値基準を調査して売れるものを作ることが基本的な考え方でしたが、Web3.0(ウェブスリー)やメタバースなどのデジタルテクノロジーが発展することで、自分たちが欲しいものを作ることが可能になり、これから先、食べることに対する価値観もどんどん変わっていくのではないかと感じます。
    世界の食の価値観が大きく変わるなかでも忘れてはならないのは、食を通じて人々の心身にどのような幸せを提供できるかということ。食の基本的な概念かもしれませんが、食にも環境や社会、文化といった要素が重視されるようになるこれからの時代においては、より重要視されるのではと思います。そのような時代のなかでも、新しい食の価値を生み出すために大切なのは「どのような食の未来を創りたいか」というビジョンを明確に発信することではないでしょうか。ビジョンの実現のために、現実的に考えて、共感してくれる仲間を見つけ、行動を起こし続ける。そのプロセスが、世の中に新しい流れを作れるのではないかと感じました。

    SKSJでも最新のフードテックを体験し、社内外の出展者と交流することで、「食で世界を変える」という熱いパッションを感じ、とても刺激的な3日間となりました。これからも、夢の実現に本気で取り組む人たちとともに走り、盛り上げていきたいと思います。

    ■見た目そのまま様々な食事をやわらかくできる調理家電DeliSofter(デリソフター)」の製品情報はこちらから
    https://gifmo.co.jp/delisofter/product/

    ■本格的なチョコレートドリンクを実現するチョコレートドリンクマシンINFINI MIX(インフィニミックス)」の製品情報はこちらから
    https://mitsubachiproducts.com/products/

    ■SKS Japan 2022の情報はこちらから
    https://food-innovation.co/sksjapan/sksj2022/

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