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社会情勢が刻々と変化を続ける中、パナソニックの新規事業創出活動Game Changer Catapult(以下、GCカタパルト)のビジネスコンテストがスタートしました。未来のカデン創出を目的としたこの取り組みは7回目を迎え、今年も「自らの手で社会課題を解決したい」という熱い想いを持ったメンバーから多数のエントリーがありました。今回は、4月からスタートした今期のビジネスコンテストの取り組みを振り返り、審査会を通過したチームの報告や今後の展望についてもお話しします。
企業価値の向上と人材育成。社内でビジネスコンテストを実施し続ける意義とは
こんにちは、GCカタパルト事務局の岩井です。私はパナソニックへ入社後、スマートシティ開発を行う部署に在籍し、そこで新規事業開発などを担当してきました。「人々がどんな暮らしを求めているか」を考えながら、新しいまちづくりを進めていくことは、GCカタパルトが目指す新規事業の創出にも通じるものがあると感じています。この経験を活かして、GCカタパルトでも人々の生活をより良くする新規事業作りに取り組んで行こうと思っています。
さて、パナソニックがGCカタパルトを通して毎年社内公募で新しい事業アイデアを募集しているのには、大きく2つ理由があります。
1つ目は、企業価値の向上です。便利なものが次々と誕生し、プロダクトライフサイクルが短くなってきている現代において、企業価値を高めるためには新しいサービスを生み出し続けることが不可欠です。
2つ目は、人材育成です。新規事業開発とは、お困り事を見つけて解決策を作り、それを商売にするという一連のプロセスですが、これはどれだけAIなどが発達しても人間にしかできない仕事だと言われています。また、課題の発見から解決までの一連のプロセスは新規事業担当者に限らずビジネスのあらゆる場面で求められるスキルなので、人材育成の観点でも、一人でも多くの人に新規事業開発の経験をして欲しいと思っています。
メンタリングで徹底サポート。審査会に向け磨き上げられていく事業アイデア
品田社長からの応援メッセージ
ビジネスコンテストは4月に募集を開始しますが、応募者の不安や疑問を事前に解決できないかと考え、募集締切日までに説明会を数回実施しています。今年の説明会は、昨年に引き続きオンラインで開催。GCカタパルトの概要やビジネスコンテストを開催する意義、最終選考までの具体的なスケジュール、参加するにあたってのサポート内容をお伝えし、パナソニック株式会社 品田社長からの応援メッセージや過去のビジネスコンテスト参加者の声も動画で流しました。
説明会の中でも一番好評だったのは、過去参加者をお呼びして実体験を語っていただいた回です。経験者から話を聞けるとあり、Q&Aセッションでも「ビジネスコンテストの活動と通常業務をどのように両立していたか」「部署の人たちとの調整はどうしていたか」など、参加者からさまざまな質問が飛び交いました。
説明会実施後のアンケートでは「コンテスト参加者に対するサポートが充実していることが知れて良かった」「経営陣や事務局の想いにふれて、応募へのモチベーションが高まった」といった声があり、私たちの想いが伝わったと感じてうれしかったですね。参加者も非常に多く、新規事業に対する関心の高さがうかがえました。
募集締切後は書類選考があり、通過したチームはプレゼン審査会に向けて準備を始めます。
その期間には、社外有識者のメンタリングを実施しています。事業アイデアの課題をご指摘いただき、より良くするための改善案を一緒に考えます。各チームはアドバイスをもとに、事業アイデアをさらに練り上げて審査会に挑みます。
審査会結果発表。今年は新たに3つの事業アイデアが誕生
審査会はプレゼンと審査員による質疑応答で構成されています。プレゼンにあたって、参加者へは特に3つのポイントを意識して説明するように伝えています。
- 誰のどんな課題を解決するのか
- なぜ自分たちがやるのか
- 課題が解決したら、世の中はどう良くなるのか
審査員による質疑応答では、この3つのポイントに加えて、アイデアの実現まで走り抜けるチームかなど、様々な視点を踏まえた質問が飛び交います。
審査を終え、今年は以下の3つの事業アイデアが通過しました。
- Ron Whitefordによる「Insect Cultivation Business(仮)」
- 栗原 博志による「IoTヘルスケアソリューションビジネス(仮)」
- 大西 正朗による「ケアラー支援サービス(仮)」
■各事業アイデアのリーダーによるコメント
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Ron |
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栗原 |
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大西 |
知識だけでなく、ワークを通して実践力を養うオリエンテーション
新規事業を進めるためのフレームワークを学びます
審査結果発表後は、通過した3チームに向けたオリエンテーションを2日間にわたり行いました。社外有識者を招いて行われたオリエンテーションでは、新規事業を進めるにあたり何をすべきか改めて整理し、本格的な活動に向けてロケットスタートが切れるように準備をします。
事業を進めるうえで重要な項目の1つ、顧客課題の明確化に関しては、デスクリサーチやインタビューの手法、インタビュー結果の分析法などを学んだ上で、チーム混合のインタビューワークを実施。知識だけでは実践できないことも多いので、有識者からフィードバックをいただきながら実際にやってみることで、より精度の高い顧客課題を聞き出す方法を実践的に学びます。
配布資料の一部
また、今回は3年ぶりのオフライン開催でしたが、各チーム同じ新規事業創出に取り組む仲間として、横のつながりがより強くなったのではないかと感じました。
普段やっている仕事とは異なる取り組みで疲れを感じているメンバーもいるようでしたが、オリエンテーション終了後は清々しい表情で、「今後頑張るべき方向性が見えた」という声が聞けました。
事業化実現に向けたサポート体制。ビジネスコンテストの今後の流れ
オリエンテーションでのワークの様子
今後は、9月と12月にある中間進捗報告会と、来年3月の最終審査にあたる事業化検討会に向けて、通過チームの事業アイデアをブラッシュアップしていきます。
事務局としては、社内メンターをチームごとに2名配置。事業アイデアの特性や進捗、メンバーの個性を見ながら、それぞれに合ったメンタリングを実施していきます。新規事業の創出に熱い想いを持った人たちと関われるのは学ぶことも多く、私自身も楽しんでいます。
ビジネスコンテストは、社内外のメンターから意見をもらえる場や、実際にお金を払って顧客にサービスを使っていただく有償実験の実施など、とても充実したプログラムが揃っていると思います。自らの力で勝ち取った貴重な機会なので、参加者の方々にはGCカタパルトのプログラムをうまく活用し、楽しみながら取り組んでもらえたら嬉しいです。
通過チームの皆さんには、これからさまざまな苦労が待ち受けていると思いますが、事業化を目指して最後までやり遂げられるよう私たちも全力でサポートしていきます。
私は、望むすべての人が自分のやりたいことを仕事にできている状態、「ライフワーク=ライスワーク」を実現できる社会を夢見ています。そして、個人の想いを起点とした事業を形にするビジネスコンテストは、そのような人をサポートできる貴重な機会だと考えているので、私自身も想いを持って一生懸命取り組んで行きます。
今回応募できなかった方や、惜しくも審査会を通過できなかった方も、新規事業創出という経験は必ず今後のキャリアのプラスになります。事務局のサポート制度を活用しながら、ぜひ挑戦してみてください。