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Written by Game Changer Catapult 杉山覚/
"未来の「カデン」をカタチにする"ための新規事業創出プロジェクトGame Changer Catapultの主な取り組みのひとつである社員のビジネスコンテストは2019年で4年目。自分のアイデアで社会課題を解決しようという情熱が、今年も集まり始めました。
全国行脚で説明会。キーワードは「Unlearn & Hack」
こんにちは、パナソニック アプライアンス社(主に家電事業を担当する社内カンパニー)でGame Changer Catapult(以下、GCカタパルト)の企画をしている杉山です。 私はつい半年ほど前までベトナムで家電製品の事業企画の仕事をしていたのですが、未来のパナソニックに必要となる新規事業開発の仕事に就きたく、半年前にGCカタパルトに飛び込みました。今はビジネスコンテストの企画や、事業アイデアチームのサポートなどをしています。
GCカタパルトの取り組みのひとつの大きな軸である「ビジネスコンテスト」は今年で4年目を迎えました。このビジネスコンテストでは社員を対象に、「未来の『カデン』をつくる*」ための事業アイデアを募集し、半年間のメンタリングを通じてブラッシュアップしていきます。厳しい審査を経て最終選考まで残ったアイデアの、サウスバイサウスウェスト(アメリカで実施されるインタラクティブイベント、以下SXSW)やSlush Tokyoといった場でのお披露目を通じて事業化を目指すプログラムです。
2019年度のビジネスコンテストは、全国の拠点を回っての説明会から始まります 。今年はゴールデンウィーク直後の5月7日からスタート。5月7日から5月10日までの4日間は、滋賀、群馬、兵庫、福岡と、文字通り全国行脚の様相。各会場でGCカタパルトが目指す世界や、プログラムの詳細について語りました(ちなみに、大阪、京都、東京にもその後行ったので、全国の7拠点を回りました)。
説明会の様子。説明しているのが杉山です。
この説明会の1番の目的は、新しいビジネスアイデアの芽を発掘すること。そのためにもGCカタパルトが大切にしている「Unlearn & Hack」という考え方を伝えることを意識しています。
「Unlearn」とは、すさまじいスピードで変化する社会の中でゲームチェンジを仕掛けていくために、今まで学んできたことや固定概念を忘れる、捨て去るということ。そして「Hack」とは、「Unlearn」で固定概念を壊した上で、新しい価値を実現していくということです。GCカタパルトでは、こうした行動指針を掲げながら社員一人ひとりの心の中にある課題意識や情熱をアイデアの力にしていくため、一緒に挑戦しないかと語りかけます。
*未来のカデン:従来の家電製品というハードウェア事業のみならず、サービス事業やコンテンツ事業まで含めた幅広い概念。
段違いに大きなものを得られる──カタパリスト(卒業生)のリアルな経験談
今回の説明会で一番力強かったのは、すでにGCカタパルトのプログラムを経験している卒業生(カタパリスト)からの応援です。GCカタパルトは今年4期目を迎えるので、すでに各拠点にカタパリストの厚い(熱い)層が形成されています。
そういった方々に今回ビジネスコンテスト説明会への協力をお願いしたところ、多くのカタパリストが協力してくれました。
草津拠点での説明会に駆けつけてくれた、第一期生(DeliSofter)のメンバー
カタパリストに登壇してもらえると、経験者ならではのリアルな話を聞かせてもらえます。
たとえば「ビジネスコンテストでつらかったことは?」という質問に対しては、「自分たちのビジネスアイデアをブラッシュアップするため、毎回のメンタリングを通じて宿題も山積み......。手探りで解決していくのは大変だった」「事業性審査会で最終テーマに選ばれて、喜んだのもつかの間。短期間でSXSWに出展する準備を済ませるのは過酷だった」「毎回の事業性審査会でのプレゼン資料作成はしんどかった。なかなか自分たちの中でもストーリーがまとまらなくて......。あと、現業との両立も大変だった」といった生々しい感想が並びます。(さすが経験者!包み隠さないですね......。焦)
もちろん、カタパリストの口から語られるのは、苦労話だけではありません。
「ビジネスコンテストに参加して良かったことは?」という質問では、より力強い声でやりがいを語ってもらいました。「正直、超大変だった。けれど、研修とは違って本気で事業をつくろうと取り組むので、得られるものが段違いに大きい!」「育成プログラムの講師陣から聞く話がすばらしい。すごい量の知識が身に付く!」「自分の事業アイデアを人に語れないと始まらないので、人前で話す度胸や、プレゼン資料の作成能力が付いた!」などなど。
嬉しい経験談が次々と出てきて、ビジネスコンテストの主催側も、胸が熱くなる瞬間が多々ありました。
このように実感を持って語れる先輩からインスパイアされて、今年も情熱を持ったチームが出てくることに期待が高まります。
オープンイノベーションにかける地方拠点の熱
ほかにも説明会を実施して感じたことのひとつとしてあったのが、社内全体にも広がる「オープンイノベーション」への関心でした。
『未来の「カデン」をカタチにする』というビジョンの実現のため、私たちは既存のやり方とは違う「オープンイノベーション」という手段を取っています 。念入りな調査やリスク確認をして仕上げた商品を、厳重なプロセスを経て商品化する既存のやり方とは違い、オープンイノベーション型では「70%の状態でも市場の声を聞き、顧客のフィードバックに迅速に対応することで仕上げる」「自社リソースにこだわらず、共創を前提とする」「リーンスタートアップを重視する」といったやり方を取っています。
「お客様に価値を届けるためには、既存のやり方を繰り返すだけでなく、新しいやり方に挑戦しなければならないのではないか?」という課題意識は、GCカタパルトだけではなく、パナソニックのあちこちで共有され、イノベーション創出の場がつくられたり、有志の勉強会が頻繁に開催されたりしています。
今回の説明会でとくに印象的だったのは、ある大型地方拠点でした。オープンイノベーションの促進に非常に熱心な拠点で、社員同士のハブの役割を果たす目的でつくられたカフェで説明会が行われました。終業後に行われた説明会の熱気は、ほかの拠点以上。イベント終了後もあちこちで議論が続けられるなど、社員の強い関心を感じました。
ある拠点での説明会後の様子。そこここで輪ができ議論が続けられています。
オープンイノベーションという手段を使った"未来のカデン"の実現がGCカタパルトの使命です。しかしそのための「Unlearn & Hack」という文化をよりいっそう広めていくことも、私たちのもうひとつの使命だということを、今回の説明会では改めて感じさせられました。
「事業をつくる」という新しい目標を見出した社員の姿
説明会に参加した方からの質問内容を振り返ると、「本当に自分に事業をつくるなんていうことができるだろうか?」「事業をつくるというのは一体どういうこと?」といような質問も見られます。
事業づくりに対する熱意、スタンスや、理解レベルがまちまちなことが感じられました。参加者の中で新規事業創出に携わったことがある人は少数派であり、「自分が事業をつくる」、ということをリアルに考える機会が少ないこともひとつの理由だと考えられます。
一方で、ビジネスコンテストの説明会を通じて、私たちGCカタパルトの呼びかけやカタパリストの熱い想いと言葉に触れ、「自分もやってみたい」「自分にもできるかもしれない」と感じる社員をたしかに増やすことができたと感じています。後日、集まった応募アイデアの数は、この4年間の中でもぶっちぎりの数!GCカタパルトの活動も4年目に入り、私たちの活動、そして「Unlearn & Hack」の文化が着実に発展し、そして定着していっていることを感じました。
新しいものを生み出すためにはパワーが必要です。事業化に近づくにつれて、クリアすべき課題のハードルはどんどん上がっていきます。
苦労はしつつも、励まし合って楽しく。「未来のカデン」を実現するために、新しい仲間たちと今年も1年走り抜けます。