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目まぐるしく変化する社会環境のなかで、未来の「カデン」* を創出する目的で作られたパナソニックの新規事業創出活動Game Changer Catapult(以下、GCカタパルト)のビジネスコンテスト。社会の課題を解決し、くらしに役立つ新しい価値を生み出す活動は今期で8期目を迎えます。4月にエントリーを開始し、書類選考、プレゼン審査を経て事業アイデアを選定。プレゼン審査会通過後は社外有識者によるオリエンテーションや社内メンタリングを通して、事業アイデアを磨き上げます。今期も「自らのアイデアで社会が抱えている課題を解決したい」という想いを持った参加者から、多数のエントリーがありました。 審査を通過したチームが挑んだ中間審査会の様子を紹介します。
* カタパリスト:GCカタパルト主催のビジネスコンテスト参加経験者の総称
* 未来のカデン:電化製品に限らず、モノからコトへのシフトなど、くらしにまつわるサービスやコンテンツによる価値提供を含めた幅広い概念
事業化実現への大事なステップとなる中間審査会
中間審査会は春の書類選考・プレゼン審査通過後、事業化に向けてブラッシュアップを重ねてきた事業アイデアの活動継続可否を判断する会となります。1チームにつき、10分間のプレゼンと10分間の審査員による質疑応答で構成されています。
今期のビジネスコンテストでは、3つの事業アイデアが審査を通過し、中間審査に参加しました。
- 保鮮量子技術で家族との食事をより豊かに「クアントマルシェ」
- 聞こえない人も聞こえる人も一緒にスポーツを楽しめる「スポリアル」
- 車いす旅行の新しいカタチ「Assist Mate(アシスト メイト)」
プレゼンでは、自分たちの事業アイデアがどのような形で社会課題に貢献できるのか、これまでに実施してきたユーザーインタビューや実証実験を踏まえながら、それぞれが想いを伝えました。また、後半の質疑応答ではターゲットが抱える課題を本当に解決できるアイデアであるか、パナソニックの強みをどのように活用して事業化するのかなど様々な視点からの質問が飛び交いました。
中間審査会の審査を終え、今回は「クアントマルシェ」、「Assist Mate」の2チームが通過しました。落選したチームは、今後は社内外のフィールドで継続推進していきます。
最終審査会に向けて、今後見極めたいポイントとは
中間審査会を通過した「クアントマルシェ」、「Assist Mate」のテーマリーダー(カタパリスト )に、話を伺いました。
「クアントマルシェ」青野 哲典
私の事業アイデアのターゲットは「家で料理をする人」と設定しています。一見課題は無いように見えるが実は満たされていない、という潜在的なニーズを審査員の方にきちんと認識していただけることを意識してプレゼンを行いました。中間審査会の質疑応答では、新たな視点での気づきも得られました。最終審査会に向けては今回得られた気づきの更なる分析に加え、家で料理をする人にとって使い勝手やデザイン面でも満足ゆく価値を体感してもらえるよう、顧客や利用シーンの解像度を高めてプロダクトの設計を進める必要があると感じています。
「Assist Mate」泉 伸太郎
今回のプレゼンでは、考えていることの8割は伝えられたかなと思います。「車いすの方の旅行にはハードルの高い困りごとがいくつもある」という課題を解決する事業案なので、車いす旅行のオペレーションの大変さを審査員の方にきちんと伝えることを意識しました。質疑応答では、もっと踏み込んで答えたら良かったと感じる場面もありましたが、新たな課題もいただいたので、その部分の解決案をこれから考えていきたいと思います。今後は有償検証*を実施しますが、得られた結果や意見をもとにアイデアを磨き上げて、事業化を目指して最後まで走り切りたいと思います。
*有償検証:実際に顧客からお金をいただいて検証を行う実験
「審査員の(株)ユニコーンファームCEO田所雅之氏
また、審査員の田所氏から以下のコメントがありました。
「この短期間で実際の現場で実験を行い、価値提供ができるかどうかを検証している段階まで進んでいるのは素晴らしいと思いました。3月の最終審査会へ向けて有償検証に入ると思いますが、ここでは、自分たちの事業アイデアが社会課題を解決する適切なソリューションであるか、これからも本当に取り組み続けていきたいアイデアであるかを様々な角度から検討し、見極めることが必要です。そのためには、市場で勝ち続ける仕組みを作ることができるか、サステナビリティの考え方を取り入れた事業であるか、競合他社と比べた時に明確な優位性があるかの3点が大事な検証ポイントになります。また、ユーザーは商品単体ではなく、商品を通して得られる体験から商品が良かったかどうかを判断します。『プロダクトやサービスによってユーザーが得られる豊かな体験価値』について、きちんと設計することも事業化実現のために大事なポイントとなります。ただ、この短期間でインタビューや実証実験を行い、現場のフィードバックを得られているのは本当にすごいこと。着想したアイデアを何もない状態から具現化することの難しさを、みなさんも体感していると思います。今回のビジネスコンテストで得られた経験は財産になりますので、普段の仕事のなかでもぜひ活かしていただきたいと思います」
未知の領域を切り拓く面白さ。新規事業創出にチャレンジする意義
審査を通過した2チームは、3月の最終審査会にむけて事業アイデアをブラッシュアップしていきます。事務局でもカタパリストとの週1回のメンタリングと月1回の集中メンタリングを行い、アイデアの実現に向けて最後までやり遂げられるようにサポートを続けていきます。「社会課題を解決したい」という情熱を持って取り組み続けるカタパリストの姿には、私たちも勉強になることがたくさんあります。新規事業の立ち上げは、新たな領域に挑戦することのやりがいを得られる反面、その過程にはさまざまな困難が待ち受けています。しかし、その困難を乗り越えた経験が人を大きく成長させ、感動をもたらしてくれることをこれまでのビジネスコンテストを通して見てきました。GCカタパルトでは、未来のアイデアを実現するためのサポートやプログラムが充実しています。豊かな社会を自分の手で創り出したいという意欲を持っている人を、これからも応援し続けます。