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みなさんこんにちは。ココロとカラダのバランス不調を経験された女性に向けて、自宅で手軽に高温湿浴する新習慣を提案する事業アイデア「FLOWUS(フローアス)」チームの大庭です。
FLOWUSという名前の由来は、日々のストレスの波を受け流せるサポートをしたい。また、「YouからUsへ。お客さまと共にソリューションを創り上げていく」という想いを込めて、Us を付けた名称にしています。
私たちは、パナソニックの新規事業創出活動Game Changer Catapult(以下、GCカタパルト)のビジネスコンテストに参加して、ソリューションのブラッシュアップを重ねながら事業化を目指して活動しています。
この記事を通じて、FLOWUSの解決したい課題や目指している社会についての私たちの想いを少しでも多くの方に知ってもらえればうれしいです。
高温湿度で温感がめぐり 汗も流れる。「イヤなことを考えない余白の時間」をつくる。
FLOWUSは、自宅の浴室という「自分だけの空間」で手軽に高温湿浴を始められる製品のアイデアです。
自分が本当に疲れているときはお風呂も準備できなくて、外部の施設も使えないことに着目し、人目もない、行く手間もない、自宅浴室で叶えられるソリューションを追求しました。使い方は、シャワーホースにFLOWUSを接続するだけ。簡単に使用できるように考えました。手間やお金がかかる設備工事などの負担もなく、女性が楽に取り付けできる製品になっています。
スイッチを入れると高温のお湯が放水、換気の状況や浴室の広さなどにもよりますが、約3~5分で高温湿浴ができる環境になります。15分ほど汗を流しリラックスしながら過ごすことで、ココロとカラダにも余裕が生まれ、スッキリとした気分になれます。
"不眠"と"イヤなことを考え込むこと"を解決するソリューションが「高温湿浴」だった
FLOWUSのターゲット層は不調を経験された女性ですが、より具体的には「ココロとカラダのバランス不調で休職し、復職した30歳前後の働く女性」を想定しています。
私自身もメンタル不調が原因で突然働けなくなった経験があり、そのときは表情や感情も消えて、お風呂に入ることさえ大きな負担に感じました。
二度とこんな思いはしたくない、誰にもさせたくない。だからこそソリューションが欲しいという強い決心が、FLOWUS起案のきっかけでした。そこでソリューションのヒントとなったのが、自分もイヤなことを忘れたいときに利用するサウナです。サウナを利用したことがある方にはイメージしやすいと思いますが、高温の空気に一気に包み込まれると何も考えない状態になり、この頭の余白こそ、イヤなことを考える思考の連鎖を断ち切ってくれると考えました。
この高温湿浴を日々の生活の中に取り入れ、負の思考のスパイラルを切る。さらに、カラダを芯から温めることで、ぐっすり眠れるように温感がめぐることを目指します。
こうした解決策は継続していくことも重要です。FLOWUSは手軽に使用できるので、自分の好きなタイミングで続けられ、習慣にすることができ、自分を前向きにする体験ができます。
これがFLOWUSの提案する「ココロとカラダをととのえる新習慣」であり、不調に耐えている女性の、自分をケアする選択肢のひとつになり、自分を前向きにさせるソリューションになると信じています。
ある日突然起こる不調 ヒアリングから見えてきた課題
FLOWUSの価値検証を進める中で、女性の不調について掘り下げるため、パナソニックの女性社員や社外の方にヒアリングを実施しました。
その中で、休職経験のある方たちからよく聞いたのは「気が付いたらコップの水があふれた」という、不調を自覚したときの表現。これは私も同じで、自分では気が付かないうちに調子が悪くなり、あるとき急に行動できなくなってしまいました。
また、「自分が休んだら、ほかの人に迷惑がかかる」と、自分もつらいのに、周囲の心配をしている場合が多いので、自分から意思表示しにくい、という悩みもあります。自分も周囲も心配し続ける状況。これも課題だと感じています。
さらに、職場に復職したとしても、体力の低下や年休の残日数が少ないこと、再発の不安もある中「復帰したからには、元気なことをアピールしないといけない」というプレッシャーを抱えていることも分かりました。
しかし、そうした悩みに共感してくれる人や相談できる人が身近にいないのも実情。社会の中で今まさに取り残された課題になっています。
ヒアリングでは、つらいと感じる原因は何かをしっかり整理しながら情報を集め、産業医などの専門家にもインタビューを重ねました。
そうして得られた声を元にプロトタイプを試作・改良、現在は有償実験を進めています。実際にユーザーに価値を体験してもらい、さらなる改善ポイントを探っている段階です。
それ以外にも、30代女性・休養経験ありという設定したペルソナに近く、サウナを普段利用しないという方とサウナ施設に行き、実際にメンタルにどのような影響を与えるかの検証も実施しました。
その結果、「温まることでカラダが楽になった」「睡眠薬を使うより眠れるし、カラダが軽く感じた」「イヤなことを忘れて余裕ができた」といった声が寄せられました。一方で、サウナを利用するには、外出しないといけないのが負担になるといった声もありました。FLOWUSを活用することで、自宅で好きなときにサウナと同じ価値を体験できるようになれば、疲れた女性たちの支えになると改めて実感しています。
本当に届けたい人は誰なのか 常に意識し続ける
この1年間、事業化にむけて進める上で意識してきたのは「FLOWUSを届けたい人は誰なのか、常に意識し続けること」です。高温湿浴というソリューションは目的が逸れると、美容や娯楽といった視点のサービスになってしまいます。
「便利な高温湿浴アイテム」を実現したいわけではなく、心身のバランス不調の女性を支えるために必要なのが高温湿浴だった。ここがぶれてしまうと、本当に届けたい人にソリューションを届けられません。私たちのチームでは、想定したペルソナに名前を付けて「みどりちゃんならどんな時間に使うか」「みどりちゃんならどう感じるか」と、本当に届けたい人はどんな人なのかに立ち返り、開発に取り組んでいます。
今は最初に提供したい価値である「自宅で手軽に高温湿浴ができる製品」を開発していますが、将来的にはユーザー一人ひとりにパーソナライズして、好みに合わせた使い方ができる製品を検討しています。また、女性だけではなく、同じくバランス不調に悩む男性や、頭をよく使うためにリフレッシュしたい方等、ターゲット層をもっと広げていきたいです。
ユーザーに合わせた製品を生み出すためにも、この事業アイデアに共感してもらい、ものづくりの過程もオープンにしていきたいです。FLOWUSを利用された方・興味を持っていただいた方からも意見をもらって、社会の課題を解決するソリューションを作りたいと思います。皆さま、意見をお待ちしております!
自分が不調だと、周囲の人も悩んでしまいます。その連鎖が続くと、社会全体が落ち込んでしまいます。心身のバランス不調に悩む人を減らすことで、個と社会が輝ける未来を実現し、誰もが健やかで、豊かな社会を共創していく。FLOWUSチームは、そのような世界を目指して、これからも前に進み続けます。