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みなさんこんにちは。Game Changer Catapult(以下、GCカタパルト)の池野です。新規事業開発としては、2019年からおにぎりロボット「OniRobot(オニロボ)」プロジェクトに携わってきました。
「OniRobot」は、一号店・ONIGIRI GOを開店するなど順調に進めてきましたが、新型コロナウイルスの影響を受け、残念ながら2020年12月にプロジェクト自体の中断を決意しました。
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そして今「OniRobot」のメンバーであった私と加古、渡邊の3名で新たに立ち上げたのが植物性ミルクのプロジェクトです。
今回は、植物性ミルクに着目したきっかけやプロジェクトに込めた想い、社会的意義、今後の展望などについてお話したいと思います。
持続可能な新規ビジネス。植物性ミルクへの挑戦
植物性ミルクとは、大豆やアーモンド、ナッツ、オーツ麦を使用したミルクのことです。牛乳とは違い、低コレステロール・低カロリーでありながら栄養成分は豊富なため、美容や健康意識の高い方々や、ヴィーガン、牛乳アレルギーの方などに飲まれています。アメリカでは、肥満が年々問題になっているため、低脂肪のミルクを推奨している動きもあります。
さらに、近年では畜産業と地球温暖化の関係性が大きな話題にもなっており、植物性ミルクの需要はますます高まってくるものと予想されます。海外では植物性ミルクを扱っている企業が1兆円近い価値を生み出している例もあり、間違いなく近い将来、日本でもその波がくるのではないかと私たちは考えました。
現在は、どうすれば原材料本来のおいしさを引き出せるのかを探りながら開発に取り組んでいます。原材料と機器を販売し自宅でイチからできるようなサービスにするのか、あるいは家庭にある一般的な調理器具でも作れるようなサービスを提供するなど様々な方法を検討中です。完成すれば、間違いなく食から人々の健康と美容を支え、地球環境の面でも貢献できる、持続可能なビジネスになるのではないかと思っています。
ヒアリングから見えてきた新しいサービスの価値
「OniRobot」の中断が決定した2020年12月から新たな題材をチームメンバーで探しはじめました。さまざまな選択肢がある中で植物性ミルクに決めたのは、世界規模では100兆円、国内でも乳製品を含めて1.5兆円、ミルク単体でも5,000億円という巨大な市場に新たなビジネスの可能性を感じたからです。テーマを決めたあとは、サービス価値の検証のため、植物性ミルクを日常的に飲まれている方へ、何か不満に思っていることや困っていることはないかなどをヒアリングすることから始めました。
商品の特性上、美容や健康に気を遣っている女性やヴィーガン、アレルギー体質をお持ちの方が多かったのですが、若い世代の方々が環境問題などへの意識を持って飲まれていることにも驚き、改めて本プロジェクトの社会的意義も感じました。
またヒアリングする中で、市販の商品に含まれる添加物に対して不満を持っていることが多いことがわかりました。メーカーの方にもお話を伺うと、やはり販売する際の安全面を考えると無添加には踏み込めない実情もあるようです。
そこで、私たちが生み出すサービスで、無添加の材料を個人宅に届け、できたてのミルクを作ることができれば、この課題を解消できるのではないかと考えました。
「OniRobot」プロジェクトの店舗を立ち上げた際、「いいお米で腕のいい職人が作れば、お客様の関心を引けるはず」と私たちは考えていたのですが、実際にお客様が求めていたのは「一番おいしいできたてを食べたい」というシンプルなものでした。このようにニーズは常にお客様の中にあります。今回はその経験を踏まえてユーザーの視点に立ったヒアリングを行ったからこそ「家でできたてを食べる」というサービスの価値を見出すことができたのではないかと思っています。
7月にオープンする店舗での実証実験で期待するもの
7月に代官山でオープンする店舗での実証実験に向け、ヒアリングと並行して植物性ミルクのメニュー開発にも取り組んできました。まずはメンバーそれぞれに国内外のメーカーの植物性ミルクを飲みながら、ユーザーにどんな味が求められているのかを研究。続いて添加物や白砂糖を使わずに、素材本来の甘みを引き出すための調理法などを工夫し、家族にも飲んでもらい味の方向性を決めていきました。そして植物性のクリームで風味をつけ、SNS映えも意識した10種類以上のメニューを作りました。しかし、ここであらためて今回の店舗実証の目的を確認。「食を通して健康に」という原点に立ち返り、まずはおいしくて体にもいい植物性ミルクそのものを知ってもらおうと、コーヒーや紅茶で割ったものを含む4種類のシンプルなメニューで販売することにしました。
店舗では、2週間にわたりテイクアウト専門で植物性ミルクを使ったドリンクを販売。オリジナルのミルクや自然素材のみを使ったもの、栄養に重きを置いて作ったものなど、使用するミルクを変えながら、お客様とコミュニケーションを取って生の声を聞くのが目的です。「OniRobot」で培ったプロモーションの知見を生かして、SNSやWeb、チラシを駆使しています。
「EarthMILK(アースミルク)」という地球環境を意識させる店名にし、植物由来の材料を使ったカップや紙ストローを使うなど環境にも配慮しています。
植物性ミルクを飲んだことがない方もコーヒーで割ったラテなどは飲みやすいので、ぜひ来店して試していただきたいですね。
植物性ミルクとプロジェクトのこれから
店舗での実証実験を経て、どういうミルクがユーザーに求められているかを掴めたら次はソリューションの検討に入ります。原材料で届けるのか、加工するのか、機器はどうするかなど課題はありますが、方向性は見えているのでメンバーと相談しながら詳細を詰めていければと考えています。あとは、モニタ販売などのテストをし、事業として成立するかどうかを見極めていきます。
当初はコロナ禍の影響でヒアリングも難しく、ソリューションが先か店舗を出すのが先か迷っていた時期もありましたが「OniRobot」プロジェクトで店舗を立ち上げた経験もあり、店舗で実証実験すると決めたとたんにプロジェクトが一気に走り出し、新規事業への考え方や取り組み方もわかってきた気がします。
ヒアリングを通して、質がよく無添加な植物性ミルクを家で楽しむという需要があることや、地球環境へ配慮から特に若い世代で広がっていることもわかりました。今の日本ではニッチな市場ではありますが、そんな若い世代が家庭を持ち、子どもができた時に植物性ミルクを飲む層がより一層広がると考えています。
店舗実証実験でお客様の声を商品に反映させながら、食を通してよりよい健康と美容、そして地球環境の改善につなげていきたいですね。
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