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エントリーシート。現役の就活生ならいままさに取り組んでいる対象でしょうし、社会人なら学生時代の悩みの種として、懐かしく思う人も少なくないかもしれません。多くの日本企業において、新卒で就職するには避けては通れない、文字どおり「入り口」となる関門です。
毎年、数百人が新卒入社をするパナソニック。その採用プロセスでは、どのようなエントリーシートが提出されているのでしょうか。今回はMake New Magazineの特別編として、パナソニックの若手社員8人が新卒入社時に提出したエントリーシートを、記事上で公開します(※1)。
エントリーシートの内容を明かす8人は、本業のかたわらパナソニックの新卒採用に参画するリクルーター(※2)たち。パナソニックに新卒入社して2~8年の若手の強みを生かして、学生に寄り添い就職活動をサポートしています。本記事では、リクルーター8人のエントリーシートを公開するとともに、彼ら彼女らに、当時エントリーシートに込めた思い、現在携わっている採用活動ではどういったことを大事にしているかなども伝えます。一人ひとりの多彩で個性的な、精いっぱいのアピールをお楽しみください。
※1 この記事で紹介するエントリーシートはあくまで過去の例であり、必ずしも現行の選考における正答例ではありません。またサブ見出しの内容は、当時のエントリーシートを表すコピーであり、現在のリクルーターの仕事や思いを紹介するものではありません。
※2 パナソニックの採用担当者以外の先輩社員として、就職活動中の学生と直接コミュニケーションをとりながら、広範囲にわたりサポートするポジション。パナソニックの魅力を伝えるほか、仕事内容の詳細や現場社員のリアルな声など会社に関する情報を提供しつつ、学生の立場に立った姿勢・視点で、就職活動についてアドバイスしたり、相談に乗ったり、伴走者として就活が終わるまで尽力します。
理論と実践を大切に、異分野融合による開発を(伊藤忠弘さん)
学生時代に進化生物学を専攻し、現在はサステナビリティ関連の社内の取り組みを推進する伊藤さん。エントリーシートでは、生物の進化に関する研究をテーマに、実験科学的アプローチで工夫している点などを記しています。自身を表す3つのキーワードを問う設問には、「積極的で好奇心旺盛な犬」「一歩立ち止まり確認する犬」「変化に適応する能力のある犬」と回答。それを体現するエピソードとして、往復5時間の通学時間を特許関連の勉強に注ぎ込み、資格取得したことなどをアピールしています。
伊藤さんが就活時にパナソニックに提出したエントリーシート
「次世代に何かを紡いでいきたい、理論と実践の両方を大事にしたいといった、自分の根底にある想いやパッションのようなものは変わっていません」と、学生時代といまを比べ自己分析する伊藤さん。一方で、「当時は、研究開発を通して社会に貢献したいと考えていましたが、パナソニックに入社して、経営企画や新規事業の立ち上げなどを経験して、現在は事業創造の仕組みを企てることで社会によいインパクトを与えたい」と変化もあることを話してくれました。
就活をサポートする仕事について一言
社会に羽ばたこうとしている学生さんを、微力ながらもサポートしたいと思っています。大切にしているのは、一人ひとりの「想い」や「個性」を表現してもらうこと。そのためのサポートに、力を尽くしていきます。
感即動の信念で、チームを勝利に導くミツバチの指揮官(岩本海斗さん)
学生時代、ラグビー部の主務として活躍した岩本さん。エントリーシートでは、問題解決と自己成長に挑戦する自身の姿を「挑戦心あるミツバチの指揮官」と表現しました。また、「疲労度チェックシステム」の導入を推進した実績もアピールしています。毎朝選手の疲労度を10段階で評価・報告してもらい練習に反映させるこのシステムによって、60人近くいた怪我人の数が30人以下に減少。ベストメンバーで試合に臨めない苦境を脱して、チームの順位も上がったといいます。
岩本さんが就活時にパナソニックに提出したエントリーシート
「体育会系の良い部分を伝えることはもちろん、相手の想像を超える内容を伝え興味を持ってもらえるよう、先輩にも協力してもらいながらエントリーシートを作成しました」と振り返る、岩本さん。いまは法人顧客に対して電気設備の営業を行っていますが、当時を回想しつつ「『感即動』(※3)が私の信念。学生時代の自分に恥じぬような挑戦をし続けたいとあらためて思いました」と決意を新たにしています。
※3 孔子が『論語』で記した表現。感じたらすぐ動く、感じさせることで人が動くことなどを意味する
就活をサポートする仕事について一言
業界用語など、前提となる知識がない学生さんと接することで「伝える力」を高められるのではと思い、新卒採用の活動に参画しました。普段、先輩社員から教えられることが多い自分が逆の立場になることで、伝わりやすい言い回しや言葉選びについて、あらためて考えるいい機会になっています。
プライドを捨て、舞台でも会計でも努力を惜しまない(高島丈さん)
「プライドを捨て去った人」というコピーで、プライドを捨てて努力し続けることができることをアピールした高島さん。学生時代最も力を入れたという演劇活動では、大学の演劇サークル3つに所属し、幾度もの公演を経験。ときにはプロの俳優とも共演し、仕事に対する考え方、熱量から刺激を受けたといいます。あるミュージカルの公演で、急遽「演出」を代行せざるを得ない状況に直面するも、来場者やメンバーのために奮闘し、結果的に感動を共有する公演ができたようです。
高島さんが就活時にパナソニックに提出したエントリーシート
そんな高島さんは、大学でコーポレートファイナンスなど会計学の領域について研究したと言います。エントリーシートを書いた当時については、「私という人間がどのような人間か分かるように、素直な気持ちで作成しました」と述べています。そのうえで「いま振り返ってみると、エントリーシートのなかに、パナソニックの経営理念と重なる部分があり、私はこの会社に入るべくして入ったのだと感じています」と回想。実際に働く中でも、パナソニック社員の社会やお客さまへの貢献に向けた意識の高さを実感しているといいます。
就活をサポートする仕事について一言
私自身、入社前と入社後では「働く」の捉え方や価値観に大きな変化を感じています。そういった部分も含めて、学生さん一人ひとりにとって納得のいく就職活動になるよう、対話を通じて人生プランを深めてもらう後押しをしたいと思っています。
人の心を掴み、売上を伸ばす「コミュニケーションモンスター」(大木優佳さん)
大木さんは、自らを「コミュニケーションモンスター」と称し、人の心を掴む力がある強みを伝えることを中心に、エントリーシートの内容を構成しました。大木さんがベトナムで参加した4カ月にわたるインターンシップでは、文具独自の販売戦略、SNSを活用したプロモーション、意欲的な販促活動を展開した結果、売り上げが伸び悩んでいた商品も完売して大成功に終わったといいます。インターンシップを通じて、地域によって習慣やニーズが異なるなかで新たな選択肢を生み出す難しさも学んだことを踏まえ、「パナソニックでは、国内外において、時代のニーズに寄り添った新しい選択肢の提示にチャレンジしたい」としています。
大木さんが就活時にパナソニックに提出したエントリーシート
「自分の人となりが一目でわかるように、わかりやすく書くことを意識しました」「学生時代に頑張ったことが、仕事と結びつくイメージをもって書きました」。大木さんはエントリーシートを記した当時を、こう振り返ります。そのうえで「新しい選択肢を提案したいという思いは、広告の仕事を通して実現できていると思いますし、今も持ち続けています」と現状を分析。制作した広告を通して商品を知ってもらい、お客さまに「もっと知りたい」「欲しい」と思ってもらえることが、やりがいになっているそうです。
就活をサポートする仕事について一言
私は、OB訪問した先輩社員から、パナソニックに多種多様な仕事があることを教えてもらうなかで「家電の宣伝・マーケティング」の存在を知りました。就活生が、私を通して知らなかったパナソニックの仕事に出会い、新しい選択肢のひとつとして考えることができればと思います。
医療と工学の融合で、高齢化社会のくらしに挑む(河本裕美子さん)
河本さんは、学生時代、内視鏡がん診断で用いる酸素飽和度計測システムの開発に携わっていました。エントリーシートでは、そうした在学時の研究内容を中心に紹介。実習で設計した人工心臓のポンプに組み込まれる羽根車の動作を評価するなかで、設計の楽しさに目覚めたエピソードや、フィットネスクラブトレーナーのアルバイト経験などを披露しています。
河本さんが就活時にパナソニックに提出したエントリーシート
エントリーシートを見返した感想は「一言で言うと『恥ずかしい』です(笑)」。「文章が稚拙で結論ファーストもできていない。リクルーターの私が大学生の私を添削するなら、間違いなく赤ペンだらけです」と、かなり厳しめの自己評価。そのエントリーシートで触れているのが、河本さんが学生時代に関心を持っていた高齢社会という社会課題の解決と、生活に関わる商品をつくりたいという2つの夢。そんな夢を伝えるべく、素直な気持ちでエントリーシートに記載したそうです。
就活をサポートする仕事について一言
心がけているのは、とにかく学生さんと話して思いを引き出すこと。まだ本人のなかで言葉にできていない思いを、具現化してあげるのが自分たちの任務だと考えています。良いところを見つけて、学生自身の自信につなげることも意識しています。
論理的思考で課題を解き、摩擦試験を刷新。材料研究を切り拓く(藤井嘉之さん)
学生時代に実験結果のメカニズムや実証方法から問題を浮き彫りにし、課題の解決手段を順序立てて研究を進めたことで、常に論理的思考を心がける姿勢が身に付いたという藤井さん。大学院では、炭素繊維強化樹脂(CFRP)の耐摩耗性を高めるための研究に取り組みました。
複数の分野にまたがる内容で、前例の少ないテーマだったため、専門家らに教えを乞い、知識を深めていったようです。藤井さんがエントリーシートでとくにアピールしたのが、新しい摩擦試験方法の立案と成果について。従来の回転型の摩擦試験では正確な検証が難しいと判断し、往復型の試験の導入を教授らへ提案したことで、メカニズムの解明がスムーズに進んだといいます。この経験を通じて「自分の考えを周りに発信していくことの大切さを学んだ」と振り返っています。
藤井さんが就活時にパナソニックに提出したエントリーシート
「何か新しいものをつくり上げたいという気持ちでエントリーシートを書きました」と、記入当時を振り返る藤井さん。とはいえ、「エントリーシート自体は、いま見返してみるとよい出来とは言い難いですね(笑)」と、自己評価は厳しめ。もし当時の自分にアドバイスをするなら、「誰がこのエントリーシートを読むのか、質問を通じて何が知りたいのかといったことを意識するとよいものになる」と伝えたいといいます。
就活をサポートする仕事について一言
就活当時は自分のなかに答えを求めていた気がしますが、いまは自分以外にも視野が広がったように思います。最終的にどのような結果・選択になるかにかかわらず、学生さんには悔いの残らない就職活動にしてほしいと思っています。同時に、「材料の仕事」の魅力も広く発信していきたいです。
卓越した行動力で、異分野の視点からヒートアイランド現象に挑む(祐安孝幸さん)
学生時代、人工衛星データを用いて近畿圏におけるヒートアイランド現象の原因調査に関する研究に挑戦した祐安さん。目標としていた国際学会での発表も実現。エントリーシートでは、「新規分野に対するチャレンジ精神や行動力」を自身の強みに挙げ、異なる分野に視野を広げること、新たな角度から課題を捉えることの重要さについて学んだことをアピールしています。
祐安さんが就活時にパナソニックに提出したエントリーシート
祐安さんは入社時から、いまと同じ技術営業を担当。「お客さまの声を直接聞き、商品の開発・改善につなげたいと考えていたので、入社前に希望していた研究開発部門とは違いましたが、いまとなっては良かった」と振り返ります。
技術営業は、多くの商材を組み合わせて提案する必要があり、必然的にさまざまな部門との交流が広がり人脈を形成できる仕事。入社後経験を積むなかで、注力したい領域も広がっているようです。現在、祐安さんが興味を引かれているのが、Well-being(人の快適)の概念。学生時代から関心を持つ環境貢献(脱炭素)と組み合わせることで、「新しいソリューションを生み出したい」と先を見据えています。
就活をサポートする仕事について一言
パナソニックはどんな会社なのか、どんな人たちがいるのか――。より深く理解してもらえるように、良い点・悪い点を含めて、 なるべくリアルを伝えたいと思っています。無理にパナソニックを勧めるのではなく、学生さんが本当にやりたいことから最終的にパナソニックを選んでもらえたらうれしいです。
衝突回避システムで、「人と自律移動ロボットの共存」を実現(豊島淳希さん)
「人とロボットの共存」をテーマに、効率性と、人への心理的影響を考慮した、自律移動ロボットのルート設計をしていた豊島さん。エントリーシートには、人がこれ以上近づかれたくない範囲を考慮した衝突回避を実現するシステムを提案し、検証した内容を記しています。また、リーダーとして出場したロボットの走行距離を競う大会で、チーム内で知識や最新情報を共有し、走行距離がチーム過去最高の114メートルを記録したこともアピールしています。
豊島さんが就活時にパナソニックに提出したエントリーシート
「いろいろな企業のインターンシップに参加して、周囲との信頼構築、チーム内で共通の目的意識を持つことの重要性を理解し、企業側も求めている考え方だと感じていました」と、エントリーシート記入当時を振り返る豊島さん。「こういう思いでこんなに頑張っている人間です!」と堂々とした気持ちで、自分が成し遂げたことを素直にアピールしたそうです。
豊島さんが大事にしている「日々改善」の考え方や「周囲との信頼構築」は、エントリーシートに書いたエピソードが起点になっているとのこと。また、働きはじめても豊島さんが実現したい夢の本質は変わらず、これからも変わらないといいます。
就活をサポートする仕事について一言
自分とは違う専門性や考え方の人と関わり刺激を受けること、相手の立場に立って考えることを通じて、自己成長につなげたいと考えました。満足できる就職活動にしてもらうために応援しつつ、どこに入社しても必要なスキルである「要点をうまく伝え、内容を理解してもらう力」を学生さんに高めてもらい、自分も高める良い機会だと捉えています。
個性豊かなリクルーターが、学生とパナソニックの架け橋に
いかがでしたでしょうか? 「恥ずかしい」と言いながらも、学生時代のエントリーシートの公開に協力し、新卒採用への思いを語ってくれた8人の若きリクルーターたち。当時のエントリーシートの内容から、個性豊かなメンバーが集まっていることがうかがえます。記事の内容から見えてくるのは、「学生一人ひとりが納得できる就活のために、(たとえパナソニックに入らなくても)サポートしたい」という熱い思い。彼らが伴走した学生たちがどのように就活を終え、どんな社会生活を送るのか。彼ら・彼女らの未来、そして未来のパナソニックが楽しみです。
Information
パナソニック株式会社 採用サイト
パナソニック株式会社の採用情報サイトです。
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