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【#こんなところにパナソニック】建物の安全が起動する。赤い「発信機」から繋がる防災システム

防災システム | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

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    街で見かける赤くて丸い発信機。押したら音が鳴りそうで、なんとなく火災のときに押されるんだろうなという赤いボタン。あれ実はパナソニックもつくっているんです。

    そしてこの小さなボタンは、パナソニックが構築する巨大な防災システムの氷山の一角。建物に張り巡らされた防災の仕掛けを作動する入り口に過ぎないんです。プロダクトに込められた一つひとつのデザインの工夫や、火災を感知→報知→避難誘導するスムーズなシステム、建物全体の防災力を高めるソリューション。訊けば訊くほど、パナソニックの防災システムにはいろいろな技術と叡智が詰まっていました。

    9月は防災月間。日々私たちが暮らす建物に組み込まれた防災システムを知って、もしものとき自分や大切な人を守る「備え」を進めてみてはいかがでしょうか?

    発信機、押したらどうなるの?

    ──建物の壁面でよく見るコレ、いったいなんなのでしょう。非常ベルと呼ぶ人もいれば、火災報知器と呼ぶ人もいる。なんとなくみんな共通のイメージを持っている気もするのですが、正確に「火災報知器」という言葉が一体全体何を指しているのか、教えてください。

    後藤改めて訊かれるとよくわからないですよね(笑)。順をおって説明していきますね。

    まず、防災システムは火災を感知するところから始まります。そういった、危険を感知する機器を総じて「感知器」と呼びます。たとえば、煙から火災を感知する「煙感知器」があります。あとは熱ですね。部屋の温度が上がってきたことを感知する「熱感知器」。

    そしてこれらの感知器からシステムを統括する「受信機」に信号が渡り、さらに各所に信号が飛んでいって避難や誘導の機能が作動していくイメージです。

    感知器から受信機へ信号が飛ぶ図 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    ──あの、赤い押しボタンがついているのは何なのでしょうか?

    後藤あれは発信機」というのが正式な名前です。人が火事を発見して手動で押すボタンのことですね。自動で煙や熱を感知する感知器とは使われ方が異なり、人が火災かどうかを頭で判断してボタンを押すものですね。これも、押すと先ほどの受信機に信号がいく仕組みになっていて、例えばその先の「非常ベル」がジリジリと鳴って建物にいる方や居住者に火災を音で知らせてくれます。
    発信機の場所を知らせるための「表示灯」とベルが一体になった総合盤は、よく見るかもしれませんね。

    発信機から受信機へ信号が飛ぶ図 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    ──般的に「火災報知器」と呼ばれるものは、どれのことなんですか?

    後藤それは一戸建て住宅用の機器を指しています。ホームセンターや家電量販店に売っている機器は住警器と呼ばれており、正式には住宅用火災警報器と言います。家の中では防災センターにつなぐ必要もないので、火災の検知と居住者への報知機能が一体になっています。

    ──なるほど。よく聞く言葉ですが、住宅向けの機器のことだったんですね。ちなみに受信機の先に繋がっているものは、他にもあるのですか?防災のシステムは全体としてどう機能しているのでしょう。

    後藤受信機がシステムの真ん中にあり、発信機や感知器がそこへのインプットとして機能しているのは先ほどお話しした通りです。
    その先、受信機からのアウトプットとしては非常ベルを鳴らしたり、「非常放送設備」を通して音や言葉で危険を知らせたり、「防火扉」を動かしたり、消防車を呼んだり。逃げる出口を表示する「避難誘導灯」をコントロールすることもあります。

    自動、手動問わず火災を感知したら全ての信号が受信機に集まり、そこが司令塔になって「報知」や「避難・誘導」のための信号が飛んでいくという仕組みです。

    火災発生から防災システムが起動していくフローの図 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    ──パナソニックは防災システムのどの分野を担っているんですか?

    後藤全体ですね。防災のシステムという大きなくくりの中では、パナソニックはフルラインナップの商品を用意しています。工事店さんやエンジニアリング会社がビルに合わせた設備設計をして、我々がそれに合わせた商品を供給します。その配線を繋いでいくところから始まり、半年に1回の点検をするところまで、まるっとソリューションを提供させていただいています。

    防災システム商品群の写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア
    左から、非常用放送用設備、R型防災システム FR10AP(GR型受信機)、リング型表示灯/発信機

    編集部が「発信機のボタン」を押してみました

    取材後日、実際の発信機と受信機をお借りしました。

    編集部で会議室に集まり、発信機のボタンを恐る恐る押してみると...まず、ボタンが思ったより固いっ...!かなりぐいっと押し込まなければいけません。初めて押す時は「これでほんとうに押せてるの?」と不安になりそうなので注意が必要です。

    ボタンを押すと発信機から受信機に信号が飛び...数秒後、ジリリリリ!!!!と爆音が鳴り響きます。やはりこの音、シンプルにうるさい(笑)。これだけの音量で鳴り響くと、「ただごとじゃないぞ」という気持ちになりますね。受信機には火災マークが点灯し、そこから各防災設備に信号が飛び交います。

    という簡単な「やってみた」実験だったのですが、実際に「やってよかった」と感じます。

    というのも、このボタン、恥ずかしながら今までは「消防士が押すもの?」くらいの認識で、人生で押すことなどないだろうと思っていました。実態は全然ちがう。むしろ、発信機のボタンは誰でも人を守れる「防災スイッチ」。そんな認識に変わったのです。もしもの時に、必要な知識と勇気を得られるいい経験でした。

    安全も守り、景観も守る

    ──発信器、感知器や報知器は、パナソニック以外のメーカーもつくっていますよね。パナソニックが特に力をいれているところ、自慢できるところはありますか??

    後藤品質と機能、そしてデザイン性には力を入れています。例えば、発信器のデザイン。真ん中にあるボタンの周りにリング型の表示灯があると思うのですが、昔はとんがりのある表示灯でした。最近はちょっとお洒落な、壁と一体化した表示灯になっています。
    パナソニックは照明事業もやっています。空間における光の役割や、そこで暮らす人がその光をどう感じるかを考える事業です。ただ光ればいいのではなく景観と調和しながら美しく光ることを追求してきたので、表示灯ひとつとっても、いいデザインのものにできたらと思っています。

    表示灯と発信機のデザインの変化 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    ──「景観を損なわないために」という意識があるのでしょうか?

    後藤そうですね。最近はその傾向があります。機能面は消防法で定められている領域なので、なかなか変えられません。他にどこで差別化するかという視点に立ったとき、品質やデザインで力をつけようという考えがあります。

    ──光る機能がリングの表示灯に集約されたと思うのですが、ここにはどんな特長があるんですか?

    後藤パナソニックはLEDの光を均一に分散させる技術に長けているので、このリングでは4つのLEDしか使われていません。それなのにきちんとリング状に美しく見えますし、消費電力も少なくまかなえているのです。

    ──やっぱりきれいに光って見えた方がいいものなのでしょうか?

    後藤表示灯の本来の目的が「ここに発信機があるよ」と伝えることにあるので、見えやすいのは前提です。その中でもパナソニックは「きれいに見える」ことを重視しています。

    というのも、今まで、発信機・表示灯は建築家や空間デザイナーからするとノイズと認識されていました。消防法を守るために仕方なくつけられている、景観を損ねるものだったのです。そこで私たちは、もしものときに目立つという防災機能を備えながらも、室内空間にきちんと調和していく、そんなプロダクトを目指して改良してきました。ひっそりと、でしゃばりもない。でもちゃんときれいに光る。地味かもしれませんが大切なことだと思います。

    発信機の写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    ──ボタンの位置も、ど真ん中にあって他メーカーのものと違いますよね?そこにも工夫があるのでしょうか?

    後藤そうですね。発信機って実は、すこし下に押しボタンを配置した方が作りやすいんです。でもデザインを意識すると中心に配置して、そこから水が広がるように、同心円上に広がるプロダクトの方が美しい。小さなことかもしれませんがそこもこだわっています。

    ──ちなみに、パナソニックの防災システムが導入されている施設は、例えばどんなところなんでしょう?

    後藤有名なテーマパークや、とある空港や省庁さんでもパナソニックの防災システムが導入されています。

    ──そうなんですね!楽しく遊んでいる裏側ではちゃんと防災のシステムが機能しているのは面白いですね。

    後藤はい、あとはマンションですね。パナソニックの電気設備は、マンションにも導入されているので、マンションの電気設備と連携した防災システムを作りながら、いろいろな方に使っていただいております。インターホン設備や、照明、配線など、くらしのあらゆる場所で提案できるのがパナソニックの強みかもしれません。

    世界を守る感知器をつくりたい

    ──今後、防災システムとして挑戦していきたい課題はありますか?

    後藤いちばんは技術開発ですね。特に火災を検知するセンサー、感知器の領域です。煙の感知はまだまだ難しく、例えば日常生活で発生するタバコの煙や、料理の煙などと、火災の煙の違いを正しく判断するのはずっと悩まされている課題です

    ──その課題に対して、現状はどういうアプローチをされているのでしょうか?

    後藤例えば、煙や熱の上昇度合いを過去3分ぐらいのデータ傾向と照らし合わせてみて、火災の煙かどうかを判断しています。

    実際の火事って、煙の量がゆっくり増えていくんですね。一方、タバコや料理の煙は一気に増えていく。そういった煙濃度の上昇傾向を見ながら、火災に近しいかどうかを判断しています。

    煙・熱の複合で判断してみたり、1ヶ月間の学習データを見ていろんなパラメータを最適制御したり。煙濃度の挙動から火災の判断をするAIを開発・搭載することで、精度を上げていっています。パナソニックに先進性がある領域です。

    煙感知器の特長 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    ──今後、感知器から他のプロダクトとの連携は新しく増えていきますか?

    後藤パナソニックにはライティング事業があるので、防災用の誘導灯やその他電気設備系の機器との連携をとりながら、もしもの時に受信機からつながる矢印をたくさん増やしていくのはぜひやっていきたいです。まだまだ法律で決まった範囲でしか連携できていませんが、パナソニックにしかできない設備連携の可能性がきっとあるはずなので、これからも模索していきたいです。

    ──防災に関して、ビジョンなどはあるのでしょうか?

    後藤感知器の分野で世界一になりたいというのが夢です。まだまだ東南アジアやインド、ヨーロッパの一部にしか展開していないので道半ばではあります。ただ、火事というものはどこで起きても同じ世界共通の事象なので、逆に考えるとひとつの技術が世界に通用するポテンシャルを持つものなのです

    国内においても、火事が起きて人が亡くなってしまったニュースはどうしても耳にします。そんな事態を限りなくゼロにしたいという想いは最初から変わらず持っています。そのためには、基本的なことですが、やはり品質を高めていい機能を作って。技術的な立場にいるからこそ、技術にできることをとことん極めていくしかないのかなと思っております。

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    防災NET(自動火災報知設備・防災設備) | 電設資材 | Panasonic

    パナソニックの自動火災報知設備・防災設備は、1人施工が容易なP型2級受信器、自動試験機能と部屋番号機能を備えたP型1級受信機をはじめ、施工性に優れ、わかりやすく、使いやすいを実現した商品をラインアップ。関連の消防法解説や各種届出書類もご用意しています。

    Profile

    後藤寛明さんのプロフィール写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    後藤 寛明(ごとう・ひろあき)

    パナソニック株式会社 エレクトリックワーク社 ソリューションエンジニアリング本部
    2011年入社。電気設備商品の生産技術開発、伝送技術開発に従事。2017年からエナジーシステム事業部 システム機器BU(現ソリューションエンジニアリング本部)に在籍。防災システムの受信機や総合監視システムなどの商品開発を手がけている。

    私のMake New|Make New「安心」
    誰もがいつでも、どこでも、安心して過ごすことができる商品・サービスを今後も創っていきたいです。

    • 取材・執筆・撮影・編集:松木啓(DE)
    • イラスト:田渕正敏

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