家事は手間や時間がかかっても仕方のないもの。そう諦めてしまう人も少なくない中で、家電の見直しや家事代行サービスの利用など、自分らしいくらしの形を追求してきたハヤカワ五味(はやかわ・ごみ)さん。日頃からパナソニックのドラム式洗濯乾燥機(以下ドラム式)を愛用しており、導入後、大きなインパクトを受けたといいます。
ドラム式は、日頃の洗濯、そして生活にどのような変革をもたらすのでしょうか。ハヤカワ五味さんと、パナソニックのドラム式の商品企画を担当する五明愛望(ごみょう・あいみ)、技術を担当する柴山亜美(しばやま・あみ)が対談しました。
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生活の中で、心と時間のゆとりを持つために
──ハヤカワさんは普段からご自宅でパナソニックのドラム式 NA-LX127Cをお使いになられているそうですね。
ハヤカワ1台目は友達からパナソニックのドラム式を譲ってもらったことがきっかけでした。5、6年それを使って、今家にあるのは去年の秋頃に買い替えたものですね。この取材だからというわけじゃなく、常日頃からドラム式と食洗機は買った方がいいと周りの人にも言っているんです。
──生活が便利になる家電は色々とある中で、ハヤカワさんが特に食洗機と共にドラム式を推すのはどうしてでしょう?
ハヤカワ私はそもそも家事全般に関して「手間を減らしたい」というよりは、やりたくないんです。今も料理をつくる以外の家事はほぼやっていません。そんな中でドラム式はタイムパフォーマンスで考えたときのインパクトが大きくて。
ドラム式って縦型と比べると値段も高かったりして、買うのはちょっと勇気がいるけど、実際に使ってみたら、これはもう戻れないなと思いました。それまで使っていた洗濯機と比べて、洗濯板が洗濯機になったくらいのジャンプがあったんです。自分の生活について考えたときに、心と時間のゆとりを持つためには絶対に必要だなと思いました。

──特にどのようなところで「戻れない」と感じましたか?
ハヤカワドラム式はまず、干す手間がないのがかなり大きいですね。今使っているものは、洗剤を自動投入してもらえるのも助かります。それまでは「何ミリリットル」って表示されていても正直よくわからなくて、雰囲気で入れていて(笑)。以前使っていた機種よりも乾燥の時間もかなり早くなって、縮みも少なくなったので、洗って乾燥までできる服の幅が増えたなと感じます。
五明パナソニックのドラム式がまさにこだわっているポイントなので、気づいていただいて嬉しく思います。
ハヤカワさんにお使いいただいているLXシリーズは、湿気を含んだ空気をヒートポンプで除湿し、乾いた温風を衣類にあてて乾燥させる「ヒートポンプ方式」を取っています。ヒートポンプを洗濯機の上部に設置することで、乾燥風路を短くし、効率よく乾いた温風を槽内に送り込むことができるので、温度を上げずに衣類をやさしく早く乾かすことができるんです。

五明他によくいただくお客様の声として、できるだけ一度にたくさんの洗濯物を洗いたいというご要望もあります。その際、日本のランドリー空間はスペースが限られているので、大容量であることとコンパクトさをどう両立していくかが開発の難しいポイントです。洗濯槽を大きくしようとすると、今度は振動が気になってしまうという問題も生まれてくるんです。
ハヤカワ確かに。
五明そのため、床への振動を吸収するためのパーツであるダンパーを多くつけたり、洗濯槽を下からだけでなくて上からも支えたりして、振動を抑えるような工夫を行っています。共働きのご家庭は圧倒的に夜洗濯する方が多いんです。そうした背景も踏まえて、振動性能にはこだわっています。
ハヤカワ私、洗濯機の上にアイライナーを置きっぱなしにしたりすることがあるんですけど、確かにあんまり落ちたりしないですね(笑)。昔は夜洗濯機を回すのはあんまり良くないこととされていたと思いますけど、振動もそんなに気にならないです。

洗って乾かすだけじゃない。衣類をケアする洗濯機
──そのほかにも開発のうえで力を入れたポイントを伺えますか?
五明洗浄や乾燥のような、洗濯機としてあたり前の部分に関してはもちろんこだわりを持って開発をしているのですが、私たちとしては、「洗濯のパートナー」であることと、「衣類を長持ちさせるロングライフ化」という2つの商品コンセプトを大事にしています。
まず「洗濯のパートナー」についてですが、現状では洗濯の際、洗濯をする人が洗濯機に必要な指示をしますよね。ですが、それだとどうしても使いこなしきれない機能があったりするので、洗濯機の方から「こんなふうに力を発揮できるよ」ということをもっと提案することができて、洗濯機とパートナーのようになれれば、それがあるべき姿なのではないかと考えているんです。
ハヤカワ洗濯機以外の家電もそうですけど、色々な機能があってもいつもこの機能しか使わない、ということが結構あります。
五明そうなんですよね。でも本当は洗濯機でできることについて、もっと洗濯機側から歩み寄れる関係をつくっていきたいんです。
もう1つ、「衣類のロングライフ化」については、お気に入りの服を長く使っていただくためのさまざまな機能を搭載し、汚れたものをきれいにするというマイナスをゼロにするだけではなく、プラスの価値を生み出せるような商品を開発していきたいと思っています。
例えば衣類のはっ水性を回復させる「はっ水回復」コース、一度着た衣類をスチームでリフレッシュさせる「シワとり・消臭」コース。また、「汚れはがしコース」は、専用の汚れはがし剤を先に投入して、衣類についた汚れを落としやすいような状態に変質させてから、液体洗剤で洗うことで、今まで予洗いしなければ落ちなかった汚れも、綺麗に落とすことができます。
柴山「汚れはがしコース」を使ったら、襟汚れがひどくて捨てようと思っていた服が綺麗になったからまた着ます、と言ってもらったことがあります。

五明私自身小さい娘がいまして、食べこぼしなどで汚れると予洗いが面倒なので「今日はこの服やめておこうかな」と思うこともあるのですが、汚れはがしコースを使い始めてからは、そういった小さな我慢をすることも減りました。手間が減るという解決策を出すことで、もっと着たい服を着たいときに楽しんでもらえたら良いなと思っています。
柴山私は、はっ水回復コースの技術開発を担当していたのですが、その開発過程の中で、アパレルメーカー様から、「大事な服だからこそ洗わない」という方がいるので、もっとケアしてもらうことができたらというお話を伺ったんです。
それを後押しするような技術として、洗濯機に入れるだけで服のケアができたらすごくいいのではないかと思い、開発を進めてきました。
ハヤカワドラム式って、服を傷めるようなイメージも強かったですけど、むしろ服の寿命を伸ばす感じですよね。
五明そうですね。それによって衣類を長く着ていただいたり、洗濯を「着たい服を、着たいときに着るためにやること」とポジティブにとらえていただいたり、プラスの価値に繋げていけたらと思っています。
ハヤカワお気に入りなのに黄ばんだり色があせてしまったりした服も、早めにケアできていたら、もうちょっと長く着られたんだろうなと思います。服をケアするための機能が洗濯機に搭載されていると、どんなケアをしたらいいかがわかりやすくていいですね。
食洗機を初めて使ったときも、ただ自動化されるだけじゃなくて、手で洗うよりも圧倒的に綺麗になることが衝撃的だったんです。
洗濯機も、ただ洗うだけでなく、「より良くなる」という方向にも向かわれているわけじゃないですか。「楽にする」だけじゃない付加価値がついた商品が、ここ数年はいろんなジャンルで多くなったように思います。

五明最近は洗剤や漂白剤もさまざまな種類があることによって、「洗濯の正解がわからない」というお話もよく伺います。アパレルメーカーさんや、洗剤のメーカーさんともコラボレーションしながら、いろんな形の「洗濯」をご提案していければと思います。
「生活は良くできるものだ」という成功体験の大切さ
──ハヤカワさんはできるだけ家事を避けたいとのことですが、家事の負担を減らすことについて考えるようになったきっかけはありますか?
ハヤカワ家事代行サービスを利用したことが大きかったと思います。家事代行サービスって、私が3時間かけてやる家事を3時間分お願いするものだと思っていたんですけど、単純な時間の代替ではなく、倍くらいパフォーマンスがいいんです。実質6時間分くらいの仕上がりなんですね。その体験を経て、ただ時短になるだけじゃなく、より良いものにできる可能性があると思いました。
自分が育ってきた環境を振り返ってみても、家事の負担がもっと減っていたら親ももっと気持ちの余裕があったのではないかなと思うことがあります。お金を払うことで少しでも余裕が生まれるのであれば、積極的に考えていきたいと私は思います。
五明家事に関しては特に、親御さんから聞いたやり方をずっと続けているという方も結構多いので、そこにどうやって新しいものを取り入れていただくかについては考えています。
ハヤカワ家電って惰性で使ってしまうことも多いですし、実家にいたときのイメージが強いと、そもそも新しい種類の家電が選択肢に入ってこなかったりしますよね。身近に使っている人からおすすめされて、やっと検討するかもしれないくらいで、見直すきっかけがあんまりないなと思います。
「家事って大変なものだよね」という認識が強すぎると、かえってそれがあたり前だと思ってやり方を変えられないかもしれないですけど、負担を減らす方法を考えてもいいと思うんですよね。時間や心の余裕がなくなることで生まれてしまうかもしれない家庭の不和と比べたら、コストとしては安いですし(笑)。

──ハヤカワさんは新しいものを取り入れることや、それを生活の中で活かして前に進んでいくことに対して、とてもポジティブな考えを持っているように感じます。
ハヤカワ「生活は良くできるものだ」という前提が自分の場合はありますね。なぜそう思っているのかというと、多分、これまでの成功体験があるからなんです。洗濯機の話で言うと、ドラム式にすることの一番の良いポイントは、生活の中で明確に良い体験を得られることだと思っています。買ったときに「高かったな」と思うことはあっても、買って後悔した人はそんなにいないと思うんです。
日々の中で「もっと良くできるのかも」という期待感を持てることは、意外に重要かもしれないと思うし、良いものを取り入れると生活が良くなるという原体験になりやすいという意味でもおすすめですね。
五明お客様に成功体験を届ければ次に繋がっていくという感覚は、なんとなく持っていましたが、言葉にしていただいて、あらためてそう思いました。安くはない価格帯なので、この価格に見合う成功体験をお渡しできるように、という視点でものをつくっていかなければいけないと感じます。

ハヤカワ今うちの会社でインターンをしている子がちょうど引っ越すと言っていたので、「高いしまだ早いと思うかもしれないけど、洗濯機はちょっといいものを買った方がいいと思う」って結構切実にお伝えしています(笑)。
五明ありがとうございます(笑)。ちなみにそんな方におすすめなのが、今年新しく発売したドラム式 SDシリーズになります。ドラム式の良さを小さなサイズに詰め込んでいます。衝撃の楽さをもっといろんな方に体験していただきたいです。
ちなみに今ドラム式を使っている中で、もっとこんなふうになったらいいのにと感じられる部分はありますか?
ハヤカワ絶対にご検討されてるだろうなと思うのですが、乾燥フィルターのゴミを取るのが自動化されたらすごく嬉しいですね。そうしたらもう、洗濯物を入れて回すだけなので。
五明そうですよね......! 乾燥フィルターをなくすと、衣類の糸くずが排水に流れてしまい、詰まってしまうという課題があるのですが、そういった課題を解決しながらも、お手入れの手間を軽減するということは我々もなんとかしたいところです。
ハヤカワ絶対に葛藤があるんだろうなと思っていました。でも本当にそれくらいですね。

技術の進化と、生活に馴染む体験の統合を目指して
──これまでの習慣的なやり方を変えづらいということは、家事に限らずあるように思います。ハヤカワさんが今取り組まれている生成AIの分野は非常に新しい領域ですが、新しいものに触れる際の心理的なハードルについてはどのようなことを考えていますか?
ハヤカワ生成AI関連の技術ってアップデートが激しいので、例えばChatGPTの日本語版が流行ったのが2023年の春頃ですけど、その頃と今の技術はもう全然違うものなんです。家電も2、3年経つとものすごく進化していますよね。実際に体験してもらわないとその違いを実感してもらいづらいという課題感は家電もAIも同じなんだろうなと思います。
──AIの活用なども踏まえつつ、ハヤカワさんとしては、家事や家電は将来的にどのように変化していくと思いますか?
ハヤカワSNS上で定期的に「AIにやってほしいのは絵を描くみたいな楽しいことじゃなくて、家事とかなんだけど」という意見が上がりますが、「確かに」と思って。物理を伴うものはロボティクスの分野ですし、AIが進化しようが、直接的に家事が楽になるわけでは多分ないので、そこはパナソニックさんに頑張っていただきたいです(笑)。
パナソニックさんのような企業は、技術というものを人々の体験に落とし込んでいくことや、どうやって生活に馴染ませていくかという観点で考えられていると思います。今もアプリで洗濯の指示をしたりすることができると思うのですが、今後体験が統合されていって、そこにAIが関与したり、生活をサポートしてくれたりしたらいいなということは、なんとなく妄想していますね。

五明そういうところを目指したいですね。より一層「洗濯のパートナー」になっていくために、もっと洗濯へのハードルを減らしていくことができるといいなと思います。何にくらしの豊かさを感じるかは人によってまったく違っていて、衣類をケアする過程に幸せを感じる人もいれば、とにかく時間を短縮して家族との時間を大事にしたいという人もいると思うんです。洗濯機は購入すると10年ぐらいは使っていただく商品になるので、いろんな人にとって使いやすい洗濯機をつくっていきたいと商品企画の立場としては思います。
柴山技術担当としては、洗濯機の本質的な機能である洗うことに関しては、もちろん大切にしつつ、もう少し先を見据えた技術開発をしていきたいと思っています。ただ乾かすだけではなくて、「縮まない」ということまで実現したり、洗うだけじゃなくはっ水機能が回復したり、皆さんが「できないだろうな」と諦めていたことや「ここまでできたらいいのに」というところまで叶えていくような技術開発を今後もしていきたいと思っています。
ハヤカワ洗濯って、家事の中でも考えることや工程がどうしても多い方じゃないですか。それが今後もっと滑らかになっていくんだろうなと、お話をお伺いしていて思いました。

技術プロジェクトリーダーからのコメント
「生活は良くできるものだ」という成功体験をお客様に届け続けていくということを改めて大切にしていきたいなと感じました。
パナソニックでは様々なお客様の使用シーンを想定した安全性評価や性能評価、それに合わせた設計を実施していますが、変わりゆくライフスタイルに合わせて今後もそういった面を大切にしていきたいと感じました。
井上恵介(いのうえ・けいすけ):LXシリーズ 技術プロジェクトリーダー
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Profile

ハヤカワ 五味(はやかわ・ごみ)
1995年、東京都生まれ。高校生の頃からアクセサリー類等の製作や販売を行い、多摩美術大学入学後にランジェリーブランド「feast」を立ち上げる。2019年からは生理から選択を考えるプロジェクト「ILLUMINATE」を立ち上げ、2022年にM&Aでユーグレナグループにジョイン。同年に「feast」を㈱ブルマーレに事業譲渡。2024年7月より生成AIに関する業務に従事。

五明 愛望(ごみょう・あいみ)
パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 商品企画部
2017年入社。2019年まで美容商品のマーケティングを担当。その後、縦型洗濯機の商品企画を経て、2022年4月からドラム式洗濯乾燥機の商品企画担当として日本国内向け商品を中心に従事。
私のMake New|Make New「家電のあり方」
従来の家電と人との一方通行の関係ではなく、いろんな人のいろんな形のくらしに寄り添って生活をサポートできるパートナーのような存在になれるようにこれからも商品開発をしていきたいと思います。

柴山 亜美(しばやま あみ)
パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部 技術統括室 要素技術部
2003年入社。洗濯機を中心とした衣類ケア機器の価値提案やコース開発に従事。繊維製品品質管理士を取得し、洗濯機と衣類の知識をもって衣類ケアの技術開発を手がけている。
私のMake New|Make New「新価値」
新しい技術開発とともに、お客様のニーズの一歩先を行く新しい価値の創出をしていきます。