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サポーターなくしてクラブはない。特命広報大使とスタジアムMCの立場だからこそ感じたガンバ大阪の原点。

ガンバ大阪×Panasonic記事の第一弾。ガンバ大阪OBでもあり、現在はガンバ大阪特命広報大使を務める、加地亮さんと、ガンバ大阪スタジアムMCの仙石谷幸一さんのお二人にお話を伺いました!

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    ガンバ大阪×Panasonic記事の第一弾。ガンバ大阪OBでもあり、現在はガンバ大阪特命広報大使を務める、加地亮さんと、ガンバ大阪スタジアムMCの仙幸一さんのお二人にお話を伺いました!現役選手でもなければ、クラブスタッフでもない、かといってファンやサポーターという立場でもない。クラブとサポーターの「あいだの立場」からガンバ大阪を支えるお二人。クラブの魅力を伝えることの面白さや難しさを伺いました。※冒頭から、漫才が始まったのかと錯覚するくらいの笑いの絶えないインタビューでしたので、たっぷりの関西弁と(笑)満載の記事でお送りさせていただきます......!

    サポーターの熱量の代弁者でありたい

    ――取材よろしくお願いします。まずは自己紹介をお願いしてもいいですか

    加地株式会社CAZIの代表しております、加地亮と申します。年齢は43歳で好きな食べ物はホットケーキです。

    仙石転校初日か!(笑)

    一同:笑

    加地はい、気を取り直して。仕事としては、ガンバ大阪公式YouTubeでCAZI散歩というチャンネルをやらせてもらっています。サッカークリニックなど単発のイベントもさせていただいていて、あとは解説業や「CAZI CAFE」で働いていたりもしています。

    加地亮さん
    ガンバ大阪特命広報大使を務める加地亮さん

    仙石僕は今年47歳の、仙幸一です。ガンバ大阪さんでは、2001年のシーズンからスタジアムでMCのお仕事をさせていただいて、今年で23年目になります。

    仙石幸一さん
    ガンバ大阪スタジアムMCの仙石幸一さん

    ――スタジアムMCというのは具体的にどういうことをやられていますか?

    仙石分かりやすく言うと試合直前のスタメン選手の紹介であったり、あとは試合中の選手の交代、ゴールの際のアナウンスというのが、サッカーに直接関わるところじゃないですかね。

    加地この間、生でアナウンス聞いたんやけど、やっぱり痺れるよ!MC向きの声があるんでしょうね。人が聞きやすいというか、そもそもかっこいい声じゃないとあかんよね。選手みたいに、ウォーミングアップとかもしているもんなの?

    仙石それがなかなかできひんねん。試合前に、どっかからごっつい声で発声練習聞こえてきたりしたら、ちょっと引くでしょ?笑 ただやっぱり、サッカーって急にゴールが決まったりするわけやんか。準備してないところから、一気に「ゴール!!!」ってフルで雄叫びしたりするから、わずか数秒やけどほんまに酸欠なんのよ(笑)

    加地全然そんな大変なイメージがない。なんか簡単にぱーって言ってんのかなあって......(笑)

    加地さんと仙石さん

    仙石苦労してんのよ(笑) 2006年のシーズン終盤のマグノアウベスのゴールでアナウンスした瞬間に、もうテンション上がりすぎて、酸欠なって目の前白くなっているけど、必死に踏ん張って、マイクでぐっと耐えるみたいなこともあったよ。

    ――もうアスリートですね(笑)どういうスタンスでアナウンスされているんですか?

    仙石ひとつ決めているのは、サポーターの方の熱量の代弁者でいたいとは思っていますね。やっぱり僕はガンバのスタジアムのMCなので、来られているサポーターの皆さんの、試合に対する熱量とできるだけリンクしたアナウンスをしていきたいなというのはあります。お客さんが「今日こそ勝ってほしい」とか、例えば、ダービーだったら「絶対負けたくない」とか。カップ戦の決勝だったら、当然ながら「絶対取りたい」とか、そのお客さんのテンションと、僕が発するコメントやアナウンスの内容がリンクしてほしいなっていうのは常に思っています。アウェイのお客さんには、申し訳ないなとは思うんですけどね。

    仙石さん

    仙石以前は試合直前のスタメン紹介で、20秒ほどの空白の時間があって、そこにばーっといろんな言葉を詰め込んでいたんですけど、「もう勝つしかねえぞ!」「俺たちこそが大阪だ!」とか強い言葉をアナウンスしてました。選手からしたら「もういらんこと言わんといて」ってプレッシャー感じるのかなとは思うんですけど。でも、ファンの目線や熱量を言葉にすると、こういうことになってくるんです。だから僕は言うようにしていました。

    ――元々そういう考えで、ずっとやられてきたんですか?

    仙石1年目は、とりあえずちゃんと声出して、ナレーション言えばいいって思っていた気がしますけど、スタジアムに通っているうちに、よりガンバを応援するようになって、お客さんの気持ちがわかるようになってきましたね。

    加地選手と同じくらい人気になっているもんな(笑)仙さ〜んとかって黄色い声もあびてますよね。

    仙石そう(笑)ただ、勝ったときはやっぱり僕も含めてみんながヒーローになるし、逆に負けた時はいろいろ言われます。直接スタジアムではっきり言われることもあるし、裏でサポーターこんなこと言ってるよーという情報が入ってくることも。

    加地ただね、そうやって色々な意見を言うのがサポーターの仕事なのかもしれんな。それを酒のつまみにするのが楽しかったりするんですよ、わかります(笑)

    CAZI CAFEで生まれるサポーターとの特殊な関係性

    ――加地さんは、どうやってファンやサポーターと繋がっていますか?

    加地僕の場合は、CAZI CAFEを経営しているので、そこで試合終わりに来てくれた人と喋ったり、意見を聞いたり、一緒の席についてワイワイ話してますね。

    仙石それって現役時代は考えられへん交流やんな。ふつう、ファン対応のときには、Jリーガーと一般の人ってプライベートなところは一線ひくわけやん。でも、CAZI CAFEでは、その境目がないわけやん。お客さんからも「なんでこんな弱いの?」みたいなことも普通に言われるわけやろ?

    加地「どんなことがあっても応援しつづけるしかないですよ!」とか言っています。選手も調子悪い時あるし、チームも調子悪い時あるから、「もうね、待ちましょう」って(笑)「次の試合勝ってくれますよ〜」って話しています。

    仙石加地が、そういうお店をやっているから生まれる関係性やな。

    スタジアムの観客席

    加地そういうときって、プロサッカー選手OBの目線から、一般のサッカーファンの目線に変えていかなきゃいけないんですよ。でも、そこで初めて一般にスタジアムに来て、応援している人が、どんな感覚でサッカー見てるか、ガンバを応援してるかっていうのを知ることができますね。

    ――なるほど、でもいいですよね、OBの人がいるカフェに行って、そういう意見を言える環境があるなんて

    加地僕からしても感謝ですよ。やっぱり、ファンがたくさん来てくれるのはうれしい。しかも、現役の時から応援してくれているファンの人が常連のように来てくれる。なんかもう親戚みたいな感じで、「ああ、また来たのー!」みたいな感覚やね(笑)

    仙石「一部」なんよね。ファミリー的な感覚なんよ。

    無観客でサッカーは成立しない。コロナで痛感したサポーターへの感謝の気持ち

    ――お二人は、コロナ禍で無観客試合の時期も経験していると思うのですが、当時はどうでしたか?

    仙石仕事としては地獄でしたよ!無観客で、でもスタジアムで試合があって、一応、中継されているけど、ここにお客様はいない。なのに、スタジアムでスタメン紹介したりするんですよ()選手がいつも通りの時間軸の中で試合ができた方がいいんじゃないかとかという計らいで、スタメン紹介をやってくれって言われて。

    スタジアム入り口から見える観客席

    仙石中継でもほとんど使われてない時間帯のスタメン発表で、「俺なんでスタメン紹介してんねやろ?」という疑問はやっぱりあって......。この仕事に、無観客はきついですね。変な話、審判と選手がいれば成立するんですよ。中継も離れたところから実況と解説の方が話乗っけるので、「場内の声」ってあんまり必要じゃないでしょ。

    加地しかも、選手がスタメン紹介を聞いているかっていうと、あんまり聞いてないしね()

    仙石そうそうそう()

    加地でも、そうまでして、いつも通りに試合をやろうとした意味ってあると思うんですよ。その想いはすごいわかります。たとえ映像越しでも、勇気もらえるじゃないですか。やっぱり心動くじゃないですか。スポーツって心動かせる競技だと思うんです。コロナ禍で色々病んでる人とか、 ずっと自宅にいてふさぎこんでいる人とかにとっては、スポーツ中継で、すごい救われたこともあると思います。

    観客席に座る加地さんの横顔

    ――そうですよね......。コロナ明けて、観客が入って感じた感動とかありましたか?

    加地めちゃくちゃありますよ!でも、これは現場にいないとわからない。これは言葉で表現できないです。現場にいて歓声を聞いて、「うわっ」て感情が湧いてくる。無観客以降、初めて観客入れるようになって応援してくれた時っていうのはもう鳥肌立ちましたもん。でもその感覚は映像見てもわかんないじゃないですか。

    (このエピソードを語るときの加地さんの迫力すごかったです......。やっぱりスポーツは尊い。ぜひJリーグの試合、観戦に行ってください......!by取材者)

    加地無観客だと正直Jリーグの試合観ているのか、学生の練習試合観てるのかわからない。極端に言うと、そんな感じなんですね。お客さんが入って、ファン・サポーターが応援してくれて初めて試合が成り立つんだなっていうのは、多分選手が一番感じているんじゃないかな。

    パナソニック・スタジアム外観

    加地無観客を味わったから、その悲しさを絶対に忘れないちゃいけないですね。ファン・サポーターって、本当に大事なんだって感謝して、ファン感謝デーに重きをおいたり、地域貢献に力を入れたりしていかないといけませんよね。正直、自分が現役のときは地域のイベントとか嫌なときもありましたよ。でCAZI CAFEとかCAZI散歩とかやっているからかもしれないけど、「地域との繋がり」も大事なんだって、今になって気づくんです。現役のときは、体が疲れたとか、クラブも選手を守りたいから、過密スケジュールだと、今回は地域交流はやめときましょうってなることもある。その気持ちもわかるんですけど......もう少しやりようないかなと。

    サッカー選手のサッカー以外の魅力を伝えたい

    ――CAZI散歩はガンバ大阪の選手に取材しにいったりしてますよね。やってみてどうですか?

    加地めちゃくちゃ難しいですよ。選手の時はこっちが聞かれたことに対してポンポンポンポン答えるじゃないですか。 でも、今度は聞き手になるんですよ。引き出さないといけないし、どういうことを聞いたら、選手の本来持ってる素の状態にできるんだろうとか、話してくれるんだろうとかっていうのは考えていくと、これ難しいなと

    仙石難しさ、やっとわかってくれた?笑

    加地いやー、すごいなって()

    観客席に座る加地さんと仙石さん

    ――どんなことを意識して聞いていますか?

    加地CAZI散歩はもう一切サッカーの話はしない。その人がどういう人なのか?っていうのを知ってもらおうとしています。サッカーは皆さんここ(吹田スタジアム)で見るじゃないですか。映像でも見るし、どんな選手かというのは知っているので、それ以外の部分でどういう人間なのかっていうのを伝えようとしてます。

    仙石それ一番難しくない?普段からサッカー選手として喋ってるわけやん。それやのに、サッカー取り上げた状態で、その人に迫ってくってなかなか難易度が高い。

    加地そう。だから、ほとんどNG()みんな本当のことを喋り出すから()

    一同:笑笑

    加地でもやっぱり、サッカー以外の面で、「あ、人柄いいんだな」とか「顔いいな」とかで入ってくる人もいるじゃないですか。あとは、ファン対応で「優しいなあ」とかサインしてもらったりしたら、子供は記憶に残りますから。サッカー以外の面で、1人の人間としてファンやサポーターに愛されたらそんなにいいことはないと思いますね。

    仙石そういう意味だと、サッカーでも魅せるし、サッカー以外でも盛り上げてくれるJリーグのスターってまだまだ少ないかもしれないね。

    【後編に続く】

    サッカーだけが、ガンバ大阪ではない。もっと愛されるクラブになるためには。 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    ガンバ大阪×Panasonic記事の第一弾の後編。ガンバ大阪OBでもあり、現在はガンバ大阪特命広報大使を務める、加地亮さんと、ガンバ大阪スタジアムMCの仙石谷幸一さんのお二人に、今の時代に選手やクラブの魅力を伝える工夫や難しさと、そこへの想いや使命感を伺いました。

    Profile

    加地 亮

    加地 亮(かじ・あきら)

    兵庫県南あわじ市出身。99年U-20日本代表としてFIFAワールドユース・ナイジェリア大会に出場し準優勝に貢献した。06年W杯ドイツ大会出場。06年ガンバ大阪に移籍し、14年メジャーリーグサッカー・チーヴァスUSAへ移籍。15年J2のファジアーノ岡山へ移籍、17年に現役引退を発表した。現在は夫婦でCAZI CAFE(大阪府箕面市)を営みながら、サッカー解説者としても活躍している。
    わたしのMake New|Make New 「challenge」
    ポジティブに物事を考え常にチャレンジしていくことが未来へと繋がっていく

    仙石 幸一

    仙石 幸一(せんごく・こういち)

    ガンバ大阪スタジアムMC、滋賀レイクスターズ アリーナMC、FM滋賀DJ滋賀No.1プ
    ログラム"RadioMax" "style"、イナズマロックレディオ TリーグMC、レイクスマガジン連載"体音高め"
    私のMake New|Make New「リレーションシップ」
    クラブもチームも常に変化し続ける中で、求められるスタンダードも変わっていきます。そこにしっかり適応し、新しいつながりを関わる皆さんと一緒に作り出していきたいという思いを込めて。

    • 取材・執筆:松木啓
    • 撮影:原祥子
    • 編集:MNM編集部、松木啓

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