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Game Changer Catapult(以下、GCカタパルト)では、社員一人ひとりの想いを起点とした新規事業創出をサポートしています。
今回は7月に開催されたGCカタパルト主催のピッチイベント「Cat7」の内容を詳しくレポートしていきます。
Cat7とは
Game Changer Catapult(以下、GCカタパルト)では、社員一人ひとりの想いを起点とした新規事業創出をサポートしています。
今回は7月に開催されたGCカタパルト主催のピッチイベント「Cat7」の内容を詳しくレポートしていきます。
コロナ禍はビジネスチャンス。キャリアデザインのプロが語る、今求められる人材像
まずは、リクルートキャリアにて累計売り上げ歴代トップの実績を残した株式会社morichの代表取締役社長 森本千賀子氏による講演、「イノベーションに必要とされる力を身に付けるには」からスタートしました。
森本氏は自身のキャリアを簡単に振り返り「新型コロナウイルスのパンデミックとDX(デジタルトランスフォーメーション)化によりイノベーションが加速した」と現状を整理。その中で企業は、新しい企業価値を作れるイノベーター人材を求めているといいます。
そして「イノベーションにおいて技術革新は手段のひとつであり、目的はユーザーの生産性、生活の質を劇的に向上させること」と定義し、コロナ禍である今こそビジネスチャンスであると参加者に語り掛けました。
「ひらめき」ではなく「学習」。スタートアップが成功する上で、大切なこと
コロナ禍の2年間に200社以上のスタートアップ企業と仕事をしてきた森本氏ですが、その多くは「ヒト・モノ・カネ・ブランド」といった経営資源の獲得に日々頭を悩ませているといいます。
「その点、GCカタパルトはあらゆる面で恵まれている。それなのに、挑戦しないのはもったいない」と会社員時代、毎年のように社内新規事業開発制度にエントリーしていた森本氏は自身の経験も踏まえて訴えました。
新規事業の成否を分けるポイントは、先述した経営資源以外にも「顧客のニーズを的確に把握しているか」「ビジネスモデルの迅速な検証サイクルが回せているか」などがありますが、講演後に行われるピッチに先駆け、森本氏が重要視している審査基準を明かしました。
それは「誰の、どんな問題を解決したいか?」という目的と、メンバーの情熱や本気度だといいます。続いて森本氏は、「起業の科学」などの著者として知られる田所雅之氏の「新規事業は『学習』にフォーカスする」という言葉を引用。そして「新規事業において大事なのは、アイデアを出すひらめきや、自分が欲しいと思うことから始まるプロダクトではなく、ひらめいたアイデアを磨き込み、解決したい本質的な課題を見つけることが大事」と語りました。
その本質的な課題は顧客に問い掛けないと見つからないため、まさに「学習」にフォーカスすることは新規事業に取り組む上で重要だということがわかります。
顧客課題の答えは現場にある。それを知るために必要なのは「人脈」
課題の深掘りをしていくにあたり、森本氏は「答えは常に現場にある」といい、イノベーションに必要な力を「徹底して顧客接点を持つことに尽きる」と結論付けました。
そして、新規事業開発を進めていくにあたっては社内外の「ヒト・技術」といったリソースを活用するのが重要で、その際は企業競争ではなく企業共創、コ・クリエーションやオープンイノベーション、コラボレーションといった考えが重要となり、具体的な方法については、知人の紹介やカンファレンス、セミナーなどへの参加、顧客紹介サービスの活用を挙げました。
しかしデータによると「積極的な人脈づくりは10人に1人しかしていない」と森本氏はいい、人との縁の広げ方について以下の5つを紹介しました。
- 自分は「どんな人に会いたいのか」を常に意識しておく。
- 意外と大事な「社内人脈」。ソリューション能力を最大化する。
- 「現在の人脈」<「未来の人脈」。これからの人生に関係する人脈・個人ブランドが必要。
- 「前向きな人」と出会える場所に足を運ぶ。
- 自分の「応援団(メンター・サポーター)」を作る。
森本氏は「人脈、ネットワークこそ最強の財産」と強調。そして、人を紹介したくなるような起業家の特徴については「素直さ(好奇心)・柔軟さ・学習力」の3つを挙げ、学習力については「インプットだけでなく、学んだ知識や知恵を生かしていくことが大事だ」と話しました。
さらに情報は常に新しくなっており、5年先に使える知識はたったの15%程度、アップデートし続ける必要があるといいます。
最後に森本氏は「日本はここ30年間GDPも横ばいで、過去の偉大な起業家に続けていない」と現状に危機感を示し、「一人ひとりの幸せが持続する社会の実現は、みなさんの手に掛かっている」と、パナソニックの創業者・松下幸之助が唱えた「水道哲学」を引き合いにして、参加者へ力強いエールを送りました。
ピッチセッションスタート。7名のカタパリストが想いをプレゼン
講演が終わると、7名のカタパリストが自身の新規事業に関して7分間のプレゼンをするピッチがスタート。今回は、先日の審査会を通過したカタパリスト7期生3名と、現在も事業化に向けて準備を進めている5・6期生4名が参加し、それぞれが熱い想いを語りました。
・近未来の救世主は...昆虫!?(Insect Cultivation Business):Ron Whiteford
・IoT EB活用による健康ソリューションビジネス:栗原 博志
・介護する人向け支援サービス けあサポ:大西 正朗
・コデカケ 聴覚障がい者向け外出支援デバイス/サービス:北角 翼
・考える力を育み、スポーツが更に楽しくなる環境を ~自動撮影・コーチングサービスSpodit~:杉岡 将伍
・FLOWUS ココロとカラダを蒸気でつつみこむ:大庭 めぐみ
・Ipsum(イプソマ)発達に特性があるお子様の「強み」を見つけ伸ばす教育サービス:山崎智史
以上7名の発表が終了。発表者は、森本氏からフィードバックを受けました。講演で語っていた「誰のどんな課題を解決したいのかが明確になっている」といった称賛の声はもちろん、「なぜこのプロジェクトに着目したといった原体験があるとさらに良くなる」といったプレゼンへのアドバイスもあり、カタパリストにとっていい刺激になりました。
栄光は誰の手に?「Top of Cats」を発表
ピッチセッション後は、どのプレゼンが一番共感を得たかを決める「Top of Cats」の発表へと移ります。参加者の投票により、見事1位に選ばれたのは...
左:FLOWUS大庭、右:株式会社morich 森本氏
大庭めぐみの「ココロとカラダを蒸気でつつみこむ『FLOWUS』」でした。
大庭は受賞を受け「1年前のピッチコンテストでは、箸にも棒にも掛からなかった。でも行動し続けた結果、今があり、憧れていた森本さんにも出会えた。これから先も頑張りたい」とコメント。諦めずに取り組みを続ける大切さを伝えました。
さらに今年は特別賞として、森本氏が「morich賞」を発表。山崎智史の「発達に特性があるお子様の『強み』を見つけ伸ばす教育サービス『Ipsum』」が選ばれました。選定理由として森本氏は「最もメンバーの本気、気迫を感じた」とし、100回以上のヒアリングを重ねた過程も評価しました。
有識者による講演から、実際に新規事業へ取り組む仲間たちのプレゼンを聞けるピッチまで、盛り上がりを見せた「Cat7」。
GCカタパルトではこのようなアイデアを具現化するための風土づくりや、顧客の生の声を聞きビジネスモデルを磨き上げる有償実験の支援など、新しい取り組みに挑戦したい社員の想いをサポートしています。
自身の原体験から何か解決したい課題を持っている方などは、ぜひ一度挑戦してみてはいかがでしょうか。
カタパリストとは
GCカタパルト主催の社内ビジネスコンテストに参加経験者の総称
ゲスト講師プロフィール
株式会社morich代表取締役社長
森本 千賀子(もりもと ちかこ)
獨協大学卒業後、現(株)リクルート入社。転職エージェントとして幅広い企業に対し人材戦略コンサル~CxOクラスの採用支援を手がける。全社MVPのほか受賞歴は30回超。現在は、株式会社morich代表として、社外取締役、顧問、NPO理事など企業の課題解決に向けたソリューションを提案し、ビジネスマッチングなどを支える「All Rounder Agent」としてパラレルキャリアを体現。NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」「ガイアの夜明け」にも出演。各種メディアや著書の執筆、講演多数。二男の母。