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「時間がない」「性別年齢の意識変化」。多様なニーズの壁を越えるかもしれない、おうち美容の可能性

HOMECARE ONLINE BEAUTY PERSONAL | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

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    性別や年齢を問わず、自分なりの美を追求する動きが広がっている。そんなニーズを受け、近年では美容関連のサービスも多様化。従来の化粧品や美容クリニックだけでなく、美容とテクノロジーをかけ合わせたさまざまなソリューションも登場した。

    たとえば、2022年に誕生したオンライン美肌治療サービス「ANS.(アンス)」もその一つ。オンライン診療を通じ、肌の悩みに応じた処方薬や基礎化粧品を届けるだけでなく、その後の治療もサポートするサービスだ。2024年にはANS.を運営する株式会社Neautechとパナソニックくらしビジョナリーファンドが資本提携を結び、デジタルヘルスケア領域におけるシナジーも期待されている。

    今回は、パナソニックのなかでも美容に特化したパナソニックビューティから南波嘉行(なんば・よしゆき)と北岡慶子(きたおか・けいこ)が登場し、「ANS.」監修医の竹村医師と対談を実施。美容業界の現在地、そして「おうち美容」の未来について語り合った。

    左から北岡さん、竹村さん、南波さんの写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア
    今回お話を聞いた、パナソニックビューティの南波嘉行(なんば・よしゆき / 右)と北岡慶子(きたおか・けいこ / 左)、ANS.監修医の竹村昌敏(たけむら・まさとし / 真ん中)

    複雑化する美容意識。トータルソリューションをどう提供する?

    ――パナソニックビューティはこれまで、美容家電を通じて「おうち美容」を推進してきました。南波さん、北岡さんは多くの人の美容の悩みに向き合ってきた立場から、昨今の美容業界の動向をどのように把握・分析していますか?

    南波特に注目しているのは、若年層の美容に対する意識の変化です。とりわけ、若い男性はスキンケアやメイクはもちろん、体毛のケアもあたり前という感覚が浸透しています。また、女性の美容に対する探究心もどんどん強くなっていて、美容にまつわる情報も、以前とは比較にならないほど充実してきました。豊富な知識を持つ方が増えたぶん、お客さまのお悩みも複雑化しているように感じます

    一方、業界視点でいうと、従来の美容やスキンケアといえば化粧品を使うか、専門の美容サロンに通うかの二択でしたが、近年は私たちが手がける美顔器や光美容器、ドライヤーといった美容家電の市場も大きくなってきました。ほかにも、化粧品メーカーがAI診断を用いたサービスを始めたり、化粧品と美容器具を組み合わせた製品が登場したりと、これまでにないトレンドが生まれそうな予兆もあります。

    お客さまと美容との接点が非常に多様化するなかで、パナソニックビューティとしても、細かなニーズと高度化するお悩みにお答えできるような美容家電やサービスの開発を進めているところですね

    南波嘉行さんの取材中の写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア
    パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社にてビューティ・パーソナルケア事業部の事業部長を務める、南波嘉行(なんば・よしゆき)

    北岡私は、美容に関心を持つ年齢層がどんどん拡大していると感じます。これまでの美容家電ユーザーは「社会人になり、少し美容にお金をかけられるようになった20代」や「出産後、肌や髪のダメージをケアしたい30代・40代」の方々が中心でしたが、最近はそれより上の、50代・60代のお客さまが増えているんです。

    当然、世代ごとにケアしたいポイントは違いますし、同世代であっても一人ひとりのお悩みは少しずつ異なります。ニーズが多様化すれば、これまでのように機器を提供するだけでは解決できないところも出てくるでしょう。私たちパナソニックビューティとしても、もう少し柔軟な発想で美容サービスを捉え直していく必要があるのではないかと考えています。

    北岡慶子さんの取材中の写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア
    パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社にてビューティ・パーソナルケア事業部 ビジネスデザイン部の部長を務める、北岡慶子(きたおか・けいこ)。CVC推進室 ヘルスケア事業戦略部にも、企画担当主幹として兼務。パナソニックの健康・ヘルスケアソリューション事業推進を牽引している

    ――美容のニーズが多様化しケアの選択肢も増えるなか、パナソニックの美容家電を選んでもらうためにはどんなアプローチが必要でしょうか?

    北岡最も大事なのは、美容家電の効果を実感していただくことです。ただ、製品によっては一定の効果が現れるまで時間がかかる場合があり、途中で使うことをやめてしまう方もいらっしゃいます。そこで、最近は「美容家電を売って終わり」ではなく、家電と連動したアプリを立ち上げ「効果が出るまで伴走する」など、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせることでお客さまのお手入れをサポートしています。

    「SMOOTHEPI(スムースエピ)」専用アプリの画面キャプチャ | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア
    パナソニックビューティが提供している、光エステ・脱毛器の「SMOOTHEPI(スムースエピ)」専用アプリ。機器の使い方サポートや全身のお手入れ予定日を一画面で確認できるスケジューリング機能、定期的な撮影で効果を可視化できる機能など、継続したお手入れをサポートする

    北岡当面の目標はアプリを使って製品の満足度を上げていくことですが、中長期的にはお客さまごとにカスタマイズした美容サービスなども視野に入れています。私たちは「綺麗になりたい」というお客さまのニーズを、ハードウェアだけで解決しようとは思っていません。美容家電やアプリ、あるいはそのほかの手段も含めたトータルソリューションとして、どう提供していくかを考えています

    オンライン診療で患者一人ひとりに伴走

    ――美容の新しいソリューションという意味では、竹村先生が監修を務めるオンライン美肌治療サービス「ANS.」も注目を集めています。こちらは、どのようなサービスなのでしょうか?

    竹村「ANS.」はオンラインで美容皮膚科の診察を受けられるサービスで、診察後には患者様のご自宅に処方薬やドクターズコスメをお届けします。また、薬が届いた後も肌に関する悩みや、薬の服用に関しての疑問などを、チャットで専門家に相談することができます。

    竹村昌敏さんの取材中の写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア
    オンライン美肌治療サービス「ANS.」を監修している、美容皮膚医の竹村昌敏(たけむら・まさとし)
    美肌治療サービス「ANS.」の写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア
    オンラインで完結する美肌治療サービス「ANS.」。医師の診断で、肌悩みに対応した薬が届く

    ――「診察するだけ、お薬を届けるだけ」ではなく、その後の治療サポートによって「患者さんが治療効果を実感できるまで伴走する」という点は、パナソニックビューティのアプローチと同じですね。

    竹村おっしゃるとおり、「伴走」は大事なキーワードです。なぜなら、美容医療には「効果が出るまで、患者さんが治療を継続できない」という課題があります。患者さんにとってはそもそも美容クリニックに来院すること自体、物理的・心理的なハードルが高いのですが、せっかく治療を始めてもさまざまな理由からクリニックに通い続けることが難しくなり、効果が出る前に離脱してしまうケースがとても多いんです。

    通えなくなる要因は忙しさもありますし、次の診断までは専門家の指導や助言を受けられず、自分一人で日々の肌の状態に向き合いながらケアを続けなくてはいけない不安もあると思います。その点、オンラインであればクリニックまで足を運ぶ必要はありませんし、「ANS.」では医師やスキンアドバイザーなどが定期的に患者さんとコミュニケーションをとり、一人ひとりのケアに伴走することで不安をやわらげ、治療の離脱を防いでいます。この仕組みによって患者さんが目指す美肌を「一緒につくっていく」ことを可能にするのが、私たちのサービスの大きな特徴です。

    ――時間的な制約だけでなく、人によっては「美容クリニックに行くのが恥ずかしい」と来院を躊躇するケースもあると思います。オンラインであれば、その心理的ハードルも低そうです。

    竹村実際のところ、特に中高年以上の男性には、まだまだ美容クリニックのハードルは高いようです。先ほど南波さんもおっしゃっていましたが、いまの10代・20代は男性でもメイクやスキンケアをするのがあたり前になっています。しかし、私もそうでしたがいまの40代以降は、中高生のときに日焼け止めを塗るだけで「男のくせに」といった視線を向けられてしまうような時代を過ごしてきました。そうした人たちにとっては、オンライン診療は一つの解決策になり得ると思います。

    南波心理的なハードルを下げるという意味では、美容家電を使ったホームケアも同じだと考えています。そうやってさまざまな選択肢が増えて、より多くの人を助けられるようになれば美容業界自体もさらに発展しますし、もっと良いサービスやソリューションが生まれるはずです。それぞれアプローチは異なりますが、お客さまも巻き込みながら、美容に携わる人たち全員で切磋琢磨していけるような環境をつくっていきたいですね。

    3名の対談中の写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    アプリだけじゃない「寄り添い方」を模索したい

    ――「ANS.」はオンラインを軸とした患者さんとの定期的なコミュニケーションにより、日常的な肌の悩みや課題に寄り添っています。パナソニックビューティもアプリを通じて美容家電ユーザーをサポートしていますが、今後はオンラインの活用も視野に入れ、より深いコミュニケーションをとっていくことも考えていますか?

    北岡十分に考えられますね。現時点でも、アプリを通じてお客さまが美容家電をどうお使いになっているのか、どんな効果が出ているのかといったことを把握できるようになってきていますし、こちらからプッシュ通知で発信をしたり、お困りの際にはアドバイスをしたりと、以前に比べればお客さまとの距離は縮まっています。ただ、オンラインのように、ダイレクトにお客さまとコンタクトができているわけではありせんので、そこは今後の課題ですね。

    南波お客さまとより深くつながれば、僕らができることはさらに広がると思います。既存の美容家電ユーザーに伴走するのもそうですし、そもそもの商品選びのところからサポートができるかもしれない。たとえば、ユーザーごとの肌の状態に合わせて「そのお悩みには、こちらの商品が適しています」といったコミュニケーションも、オンラインを活用することで可能になるかもしれません。

    ――オンラインと美容家電を使ったホームケアは相性も良さそうです。

    南波そうですね。パナソニックビューティの使命は、より多くの人に美しくなる喜びを届けること。竹村先生もオンラインを活用することでたくさんの人に美容医療を届けていますが、時間や距離の制約を受けないという点では、われわれが手がけるホームケアの領域も同じです。ただ、竹村先生のお話をうかがっていると、まだまだ寄り添い方が足りていないんじゃないか、アプリだけでなく、もっとできることはあるんじゃないかと考えさせられますね。

    竹村ただ、そうはいってもオンラインがすべてにおいて万能な解というわけではなく、当然「できないこと」もあります私たちのサービスでも、患者さんの症状によってはオンラインによる遠隔治療ではなく、来院いただいて機械などを使った治療を行なわないと改善できないケースがある。20代を中心としたデジタルネイティブ世代は、オンラインで何でも解決できると考えてしまいがちなところもありますが、できること・できないことを見極め、患者さんが幸せになれる道に導くことも専門家の大切な役割だと思っています。

    取材中の手の写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    南波すごく大事な視点ですね。僕らも同じで、美容家電やホームケアで何でもできるとは思っていませんし、お客さまにとってより良い解決策があるなら、そちらを選んでいただいたほうがいい。むしろ、症状やお悩みによっては社外サービスも含めた最適なソリューションを提案するような、触媒的な役割を私たちが担ってもいいのではないかと思います

    より良いサービスを生み出す鍵は「人間中心」に考えること

    ――竹村さんの視点で、パナソニックの美容家電に期待すること、あるいは新しいサービスのアイデアなどがあれば教えてください。

    竹村南波さんや北岡さんがおっしゃっているように、肌の状態や悩みは人によって異なります。それら一つひとつに幅広く対応するのは難しいですが、たとえば各自の状態に合わせた設定がいま以上に細かくできるようになったり、場合によっては医師と相談したうえで自分に合う使い方を選べたりする仕組みがあるといいのかなと思います。あるいは、そもそも美顔器を購入する前に医師の診断を受け、自分に合うものを選べるようにするといったサポートも必要かもしれません。

    お客さまがホームケア・専門家ケアで得られるサービスの図 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    竹村いずれにせよ、単体の機器やサービスだけですべての悩みに対応することは不可能です。たとえば、美容家電や私たち医療従事者、オンライン診療やスキンケア用品など、さまざまな要素を組み合わせたトータルのソリューションを提供するようなプラットフォームがあって、そのなかからユーザーが自分に合うものを選べる。そんなことができるようになるといいですよね。

    取材中の竹村さんの写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    ――ありがとうございます。では、最後にあらためて北岡さん、南波さんにお聞きします。今日の対談を通じて特に印象に残ったこと、あるいは新しい発見などがあれば教えてください。

    北岡竹村さんはオンライン診療、私たちはホームケアとアプローチは異なりますが、共通点も多いと感じました。特に、お客さまの心理的な制約を解消するという部分ですね。単に恥ずかしいというだけでなく、なかには病気じゃないのに病院に行くということに対してうしろめたさを感じてしまう人もいると思うんです。でも、本当に悩んでいる人は多くて、「ANS.」はそういう方々の駆け込み寺のようになっている。そこは私たちも見習いたいといいますか、さまざまなお悩みに誠実に向き合うことで、多くのユーザーさんの拠り所になりたい、ならなければいけないとあらためて思いました。

    取材中の北岡さんの写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    南波冒頭で申し上げたように、年齢・性別を問わず美容に関心を持つ人は増え続けています。一方で、仕事や生活で忙しく、美容にかけられる時間が限られる状況のなかで、オンラインやホームケアのニーズは確実に広がっていくはずです。

    とはいえ、竹村先生がおっしゃったようにオンラインではできないこともある。大切なのは、個々の症状や状況に合わせた最適解を選べることで、それを実現するためのサービスやソリューションを生み出す鍵は「人間中心に考える」ことだと思います。今後も竹村先生をはじめ多くの方々のご意見をうかがいながら、パナソニックビューティらしくお客さまや美容と向き合っていきたいですね。

    3名の対談の様子の写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

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    カテゴリー概要 | ビューティ(美容家電総合) | Panasonic

    パナソニックがおすすめする美容家電「パナソニック ビューティ」公式サイトです。美顔器などのフェイスケア、ナノケアドライヤーなどのヘアケア、脱毛器などのボディケアなど人気の美容家電は「パナソニック ビューティ」におまかせ。

    Profile

    南波 嘉行さんのプロフィール写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    南波 嘉行(なんば・よしゆき)

    パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 ビューティ・パーソナルケア事業部 事業部長
    1993年入社。商品企画として女性美容を中心にビューティケア事業に従事。2022年10月より、ビューティ・パーソナルケア事業部 事業部長に就任。

    私のMake New|Make New「仕事ネットワーク」
    新しいことに挑戦すると、新しい知り合いが増える。
    一緒に課題を乗り越えると、戦友が増える。
    新しいことに挑戦することで、どんどん仕事仲間を増やしたい。


    北岡 慶子さんのプロフィール写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    北岡 慶子(きたおか・けいこ)

    パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 ビューティ・パーソナルケア事業部 ビジネスデザイン部 部長 兼 CVC推進室 ヘルスケア事業戦略部
    新卒でパナソニック入社。海外営業に従事した後、2006年より一貫してPanasonic Beautyの商品企画を担当する。2022年10月にビジネスデザイン部に異動し、現職ではプロダクトブランドを横断した新規サービスの企画開発などに注力している。

    私のMake New|Make New「Happiness」
    お客さまも気づいていないような潜在的なニーズを見つけ出し、喜びをご提供できるよう、いままでにない新しいチャレンジをどんどんし続けていきたいと考えています。


    竹村 昌敏さんのプロフィール写真 | Make New Magazine「未来の定番」をつくるために、パナソニックのリアルな姿を伝えるメディア

    竹村 昌敏(たけむら・まさとし)

    美容皮膚科医、ANS.監修医
    「オンライン診療」という公式で初めて使った医療×IT分野の第一人者であり、美容に特化したオンライン診療領域の開拓者。美容皮膚医として日本初の定額制美容クリニックの総院長として立ち上げを行なったのちに、現在はオンライン美肌治療サービスANS.の監修医を務めながら、高知大学医学部 四国病院経営プログラム 非常勤講師も兼任する。

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